【主張】コロナと大学教育 不安拭い知の拠点を守れ

 新型コロナウイルス感染拡大の中、大学教育をどう維持するかが課題となっている。経済的に困窮する学生への対策が急務だ。キャンパスの閉鎖でオンライン授業の工夫も求められる。

 官民を挙げて知の拠点を守る積極的な手を打ってもらいたい。

 文部科学省の4月時の調査では開講を延期する大学、高等専門学校は約9割に上った。キャンパスが感染拡大の場とならないよう入構制限を継続している所が少なくない。

 大学はインターネットを使った授業などを始める一方、独自の奨学金など学生支援策を打ち出す所が増えている。保護者の収入減のほか、アルバイトの自粛を余儀なくされ、学費や生活費に苦しむ者が少なくないからだ。

 経済的に厳しく、13人に1人が退学を検討しているとの学生団体の調査もある。学費の減免などを求める要望も多い。

 政府は今年度から導入された低所得世帯対象の高等教育無償化にからみ、新型コロナウイルスの影響による家計の急変を加味する考えなどを示している。

 緊急事態宣言が延長されるなかで、国や大学の取り組みはもちろん、企業の寄付や支援を含め、意欲ある学生が勉学をあきらめることがないよう、不安を拭う重層的な施策を行ってもらいたい。

 オンライン授業については、慶応大学環境情報学部長が学生に向けたメッセージに注目した。

 「家にいろ。自分と大切な人の命を守れ。SFC(慶応大学湘南藤沢キャンパス)の教員はオンラインで最高の授業をする」

 命を守る感染防止を第一に、学びをしっかり支えるという教育者の強い言葉が今、必要である。

 ただし、オンラインで「最高の授業」と胸を張れる大学は、限られるようだ。日本では教員らもオンライン授業に不慣れで、コロナ禍での急仕立ては、泥縄式の感が否めない。

 国立情報学研究所ではオンライン授業などの取り組みを情報発信している。東北大学のようにすべての学生にアドバイザー教員を配置するなど、きめ細かな相談体制を含む支援策を行う所もある。

 小中高校でも休校長期化で教育に苦心している。高等教育こそ、コロナ禍にひるまず学びの知恵、工夫に真剣に取り組み、情報発信する使命は重い。

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