【主張】道交法改正案 路上の安全守る施行急げ

 道路交通法の改正案が今国会に提出された。高齢ドライバーによる事故を減らし、危険な「あおり運転」に厳しく対処するためのものだ。成立、施行を急ぎたい。

 改正案は、一定の違反歴がある75歳以上の高齢者に免許更新時の「運転技能検査(実車試験)」を義務付けた。衝突被害軽減ブレーキなどを搭載する「安全運転サポート車」が条件の限定免許も新設する。

 高齢者の運転による重大な事故が相次いだことを受けた改正案である。警察庁によると、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は75歳未満の2・7件に対し、75歳以上では倍以上の6件となる。

 悲しいかな、加齢とともに運転技能に関わる反射神経や判断のスピードは劣化する。往々にして自身ではその事実に気づかない。実車試験は重要な再確認の機会となるはずである。違反歴がない75歳以上や、70~74歳のドライバーにも免許更新時に実車指導を行い、運転技能を評価する。

 サポート車は、ペダル踏み間違え時の急加速防止装置などの先進安全技術を搭載した車で、限定免許は本人の申請で取得できる。車が生活の足となりながら、免許の自主返納に悩んでいる高齢者らには、第3の選択肢となり得る。

 安全技術の先進化、実用化は進捗(しんちょく)途上にあり、法制化には将来に向けて柔軟に対応できる文言の選択が求められる。

 「あおり運転」については、車間距離不保持、パッシング、不必要なクラクションなど10項目の具体的な違反行為を示し、懲役刑を含む罰則を設けた。行政処分も強化し、違反1回で免許を取り消すことができるようになる。

 厳罰化と抑止力の関係を疑問視する声もあるが、飲酒運転事故の減少に寄与した実績がある。厳罰化を、「あおり運転」を許さない社会の機運の醸成に結び付けることが重要である。

 道交法を含む交通関連法規は、これまでに何度も改正が繰り返されてきた。その原動力は、悲惨な事故の遺族、被害者の悲しみであり、社会の怒りだった。

 法改正は路上の安全とともに、ドライバー本人を守るためのものである。改正案は今国会に提出され、成立すればあおり運転対策は20日以内、高齢者対策は約2年以内に施行するという。せっかくの改正法だ。悠長にすぎないか。

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