【外信コラム】露政権の本質 コロナが暴く軍事優先

 世界を席巻している新型コロナウイルスだが、ロシアは比較的平穏だ。現時点で感染者数は100人台、死者は1人にとどまる。プーチン政権が早期に検疫を強化し、中国からの人の流入を規制する水際対策をとったことが一定の効果を挙げているのだろう。

 それでも政権の危機感は強い。6月上旬に予定されていた恒例のサンクトペテルブルク経済フォーラムは既に中止を決定。モスクワ市も大規模イベントの開催を禁止した。モスクワ市の真の狙いは、プーチン大統領の5選を可能にする改憲への抗議デモを封じることだとみられているが…。18日からは外国人の入国も禁止された。

 一方で政権は、5月9日の対ドイツ戦勝式典(軍事パレード)は予定通り実施する姿勢を崩していない。経済フォーラムを中止した以上、より時期が近く、規模も大きい戦勝式典を延期か中止にするのが合理的だと思われるが、そうではないようだ。

 戦勝75年の今年、政権は例年よりも大規模な式典を計画している。経済低迷が続く中、「戦勝国」という名の美酒に国民を酔わせ、不満の解消や求心力の回復につなげる思惑が政権にあるのは明らかだ。新型コロナウイルスは、図らずも「経済より軍事」という露政権の本質を暴き出したといえる。(小野田雄一「赤の広場で」)

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