【主張】緊急事態宣言 発出のタイミング誤るな

 中国・武漢発の新型コロナウイルスを適用対象に含める改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の成立、施行を受け、安倍晋三首相が記者会見を行った。

 首相は、感染が急拡大する国々と比べ、日本は一定程度持ちこたえていると専門家がみなしていると指摘した。その上で「依然として警戒を緩めることはできない」と語った。

 改正特措法に基づく緊急事態宣言について、現時点で出す状況にないとし、必要であれば手続きに則(のっと)って発出する考えを示した。

 緊急事態宣言は、新型ウイルスの感染封じ込めのため、政府や都道府県に多くの対応手段を与えるものだ。感染拡大のペースが上がるなど、悪い変化の兆しが出てくれば、首相は緊急事態宣言を積極的に考えなくてはならない。タイミングが遅れれば、感染拡大を止められず、法改正の努力が意味をなさなくなる。

 この緊急事態宣言に対しては、私権を制限する措置を伴うとして極めて慎重に考えるべきだという意見が国会でも多く出た。

 平時であれば私権の制限は望ましくない。だが今は、免疫を持たず、決定的な治療薬やワクチンもない中で、人々は新型ウイルスの脅威にさらされている。

 国民の生命と健康を守り、経済社会の秩序を維持するには感染拡大を阻むことが必要だ。それなくして、国民の私権を守ることは難しい。

 政府や都道府県は、権限を増したいがために緊急事態宣言に基づく措置をとるわけではない。国民や社会を救うための時限的な措置である。それを理解しない非現実的な批判に、首相や政府が影響を受けては、新型ウイルスとの戦いで後手に回ることになる。

 これまで事態を楽観していたトランプ米大統領は、米国内での感染拡大を受け、国家非常事態を宣言した。最大500億ドルの連邦予算を用意する。

 トランプ氏は「連邦政府の力を最大限使えるようにする」と語った。このような全力投球の姿勢が危機を乗り切るために欠かせない。日本も必要に応じて臨機応変に、思い切った措置を講じていかねばならない。

 最も大切なことは、新型ウイルスの国内蔓延(まんえん)を防ぐことだ。大流行になってから緊急事態宣言をしても手遅れになる。

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