【外信コラム】ニュースに鈍感になってはいけない

 このところニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、1千ドルを超す大幅な値下がりや値上がりを繰り返している。新型コロナウイルスの悪影響や、景気対策などに関する政府、企業の情報発信に、投資家が一喜一憂し、一気に売りや買いに走っているためだ。

 通常は数百ドル下がれば大きなニュースだが、もはや千ドル前後の値下がりに「またか」としか思わなくなった。「ニュースに鈍感になってはいけない」と自戒するのだが、そんな感覚はトランプ米政権を取材する記者の日常風景ではないか。

 例えばトランプ大統領はツイッターで、米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げをたびたび要求している。先日も「FRBは哀れで動きが鈍い」と投稿。中央銀行の独立性を重視する先進国では「ご法度」の発言だが、米国の記者の間でも「またか」と肩をすくめるだけになったという。ツイッター投稿は1日に100回を超えることもあり、知人の共和党員は「大統領職はそんなに暇ではないはずだ」と渋い表情だ。

 市場はトランプ氏の投稿を手掛かりに、FRBが金利を引き下げるとの予測を強めている。投資家は各国政府の景気対策に注目し、トランプ氏の発言に過敏になっている。市場の期待をあおるような大統領の情報発信は危うさをはらんでいる。 (塩原永久「ポトマック通信」)

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