【外信コラム】半島の実際を体感する元日

 韓国では、1月1日前後に日本でいう正月らしさがほとんど感じられない。韓国では中国と同様、1月下旬から2月にかけての旧正月に親戚一同が会して祝うためだが、新暦元日前後の公休は1月1日の1日しかなく、何ともせわしない。

 年内に決着を付けようとする意識が強いためか、国会では、最大懸案の検察改革関連法案で与野党の攻防が年末まで続き、日韓関係でも、2015年の慰安婦問題をめぐる合意や、16年の釜山の総領事館前の慰安婦像設置、19年の日韓首脳会談も年の瀬にあった。

 北朝鮮では、さらにせわしない。最高指導者が施政方針を読み上げる「新年の辞」発表が1月1日に行われるからだ。その年の目標を表明するというより、北朝鮮社会では、最高指導者の元日の言葉に庶民たちが日常の生業を合わせていくことが要求される。

 18年の対話攻勢のように、韓国政府も新年の辞の一言一句に踊らされるだけに、朝鮮半島担当記者にとって毎年元旦は、年越しの酒に酔っているというわけにはいかない。

 北朝鮮の独裁者は元日早々、自らの言葉を頭にたたき込むよう強いられる庶民の苦労は実感できないだろう。こういう悪しき習慣は打破すべきだと思いを新たにする日もまた、半島記者にとって1月1日の存在意義といえる。(桜井紀雄「ソウルからヨボセヨ」)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ