【主張】「記述式」の混乱 無理ある制度は中止せよ

 大学入試センター試験に代わる新共通テストの記述式問題の導入をめぐり、与野党から延期や中止の要請が出ている。

 民間に委託して採点する方式に対し、公正に採点できるのか、不信が拭えないためだ。

 萩生田光一文部科学相は6日の閣議後会見で、「延期決定や検討の事実はない」とする一方、「年内には方針を固めたい」と述べた。

 何を言っているのか理解しがたい。記述式なら0点だろう。判断を引き延ばせば不信が増すばかりである。

 制度の不備は明らかであり、早急に中止を決め、入試改革の迷走を止めるべきだ。

 新共通テストは現在の高校2年生が受験する令和3年1月に最初の試験が迫っている。従来のマークシート方式に加え、国語と数学の一部に記述式問題を導入する予定で準備が進められてきた。

 1月下旬の共通テストの後、各大学の2次試験までに短期間で記述式の答案を処理するため、採点は民間に委託する。入札の結果、ベネッセコーポレーションのグループ会社「学力評価研究機構」が請け負い、アルバイトの大学生などを含む約1万人規模で採点が行われることになっていた。

 しかし野党が記述式問題を中止する法案を提出したほか、公明党が見直しや延期の検討を求める提言書を文科相に渡すなど、与党からも見直し論が強まった。

 採点者によりばらつきが出かねないなど、指摘される懸念は高校などから以前から出ていたことである。試行テストでは国語の記述式問題で、実施機関の大学入試センターの採点と、生徒の自己採点が一致しないケースが約3割に上ることも問題となっていた。

 思考力を試す記述式の役割は否定しないが、数十万人規模が受験する共通テストでの導入に無理があるのは分かっていたことだ。実際、導入される記述式問題は中途半端な内容にとどまっていた。

 記述式は各大学の個別試験で十分に実施すればよい。その問題もつくれないような大学は、高等教育機関の名に値しない。

 英語の民間試験見送りに続き、文科省の政策決定をめぐるお粗末さは猛省が必要だ。教育行政で重要な学校現場の声に真摯(しんし)に耳を傾ける姿勢を欠くのでは教育を司(つかさど)る役割は担えない。教育全体への不信を招いた責任は重大だ。

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