【主張】香港の区議会選 圧勝の「民意」に歩み寄れ

 香港の区議会選挙は、民主派が8割以上の議席を獲得した。親中派との議席配分を完全に逆転させた圧勝である。

 有権者の判断が直接反映される区議会選は、事実上の住民投票だ。投票率も歴代最高だった。

 逃亡犯条例改正案への反発に始まった高度自治の訴えが、この投票結果を生んだ。香港トップの林鄭月娥行政長官はもとより、背後に立つ中国の習近平国家主席もこの民意を率直に受け止めるべきだ。

 区議会の改選は4年に1度だ。学生らが幹線道路を占拠した2014年の「雨傘運動」の翌年の前回選挙は、社会の安定を訴えた親中派が勝利した。

 6月の大規模デモ以来、香港の幅広い市民は林鄭氏率いる香港特別行政区政府に強い不信感を示していた。今回の民主派の圧勝は、抗議活動の一部が先鋭化した後も民意が全く揺らがない現状をはっきり示した結果である。

 選挙実施を前に、香港の選挙管理当局は一部の民主派候補の出馬を禁じた。区議選候補を含む民主派議員も警察に逮捕された。親中派不利を見越した権力による選挙妨害は、空振りに終わった。

 投票結果を受け、香港の中国系紙は「暴力が選挙を操った」などと論評した。訪日中の王毅国務委員兼外相は「香港は中国の一部。安定と繁栄を破壊する者は許されない」と語った。

 民主派勝利の現実を直視できなければ、民意との距離が開くばかりだ。中国、そして香港の政府とも、一国二制度の下での高度自治を破壊する圧政を改め、民意に歩み寄るべきである。

 地方議会にあたる区議会の役割は限られるが、行政長官を選出する選挙委員会には立法会(国会)を上回る委員枠を持つ。

 一連の抗議活動は、普通選挙(直接投票)による行政長官選出を要求に掲げているが、中国当局者は現状から後退した選任制への移行すら示唆する。とんでもない強権支配への妄執だ。

 中国は香港に対し「法治」に名を借りた介入姿勢を強めている。香港警察の過剰警備も、中国の指示によることが明らかだ。

 幅広い民意に立脚し、傷ついた香港の高度自治を立て直すことが最善の道である。この取り組みがなければ、中国が期待する国際金融や貿易の拠点という香港の地位は失われると覚悟すべきだ。

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