【主張】五輪組織委 祝祭へ透明性を重視せよ

 五輪は、スポーツの祭典である。心置きなくその開催を祝い、楽しむためには、何より大会運営の健全さや、組織の透明性が求められる。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が実施した空手競技場に敷く床マット調達の一般競争入札で、業者が1円で入札していた。組織委は落札価格を非公表としており、指摘を受けて公表した。

 「1円入札」は、その後の宣伝効果や実績づくりを狙うものとされ、独占禁止法が禁じる不当廉売にあたる可能性がある。

 入札は「空手競技会場(日本武道館)及び練習会場(東京武道館)における競技マット」の買い入れで、今年7月5日に4社が参加し、埼玉県の業者が落札した。結果は組織委のホームページ上などで公表されたが、価格は非公表とされていた。

 組織委は産経新聞の取材に落札額が1円だったことを認め、非公表とした理由を「今後の過度な競争につながるおそれもあると判断したので控えた」としていた。

 1円入札の弊害を、十分に認識していたことになる。認識していながら、これを許容したことになる。組織委は五輪の準備、運営に関する事業を行い、大会の成功に期することを目的に存在している。透明性が求められる公的な団体として、その姿勢は問われるべきだろう。

 報道を受けて「1円入札」については公表したものの、今後の一般入札について最低価格を設定することには否定的なのだという。今後も「1円入札」の可能性を残したことになる。自ら述べた「非公表の理由」と矛盾してはいないか。非公表としたことについての反省も聞かれない。

 東京五輪の招致、準備を巡っては、国際オリンピック委員会(IOC)委員に対する贈賄疑惑や新国立競技場の建設計画の変更など多くの問題が噴出し、その都度、祝祭ムードに水を差してきた。

 マラソン、競歩の会場は突然、札幌に移された。IOCの強権を前に組織委と東京都は一枚岩となれず、スポーツ界には存在感がない。全ての問題に通底しているのは、決定過程の分かりにくさであり、透明性の欠如である。

 11月も下旬となり、年が明ければ五輪イヤーだ。そろそろ、何の憂いもなく、五輪本番を心待ちにさせてくれないか。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ