【主張】「ゴーン退場」1年 経営の混迷に終止符打て

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が東京地検特捜部に逮捕されて1年が経過した。世界有数の自動車連合トップの突然の逮捕は、日本だけでなく、海外にも大きな衝撃を与えた。

 同社は、ゴーン被告に権力が集中していた経営を改革し、社外取締役を中心に執行と監督を分離する企業統治の強化を目指している。だが「会社を私物化した」とゴーン被告を批判した西川広人前社長まで自らの不正報酬問題で辞任し、混迷が続いている。

 日産の信頼は大きく低下し、業績の悪化にも歯止めがかかっていない。経営を早期に立て直し、競争が激化する自動車業界での生き残りに注力する必要がある。

 昨年11月に特捜部がゴーン被告を逮捕したのは金融商品取引法違反の疑いだった。日産から情報提供を受け、数カ月の捜査を経て逮捕した。その後、会社の資金を不正流用していた疑いで特別背任容疑でも逮捕・起訴された。

 来春にも始まる裁判で真相を明らかにしてもらいたい。

 ゴーン被告は経営危機に陥った日産を大規模なリストラでV字回復させ、カリスマ経営者と称された。長年、日産トップとして君臨し、途中から筆頭株主の仏ルノーの最高経営責任者も兼務した。

 その結果、ゴーン被告の経営に異を唱えられる監視役がいなくなった。これでは、企業統治の機能不全を招いたのも当然である。

 さらに、再出発を主導すべき西川氏まで報酬問題で疑惑をもたれて辞任する異常事態である。企業ブランドの低下は深刻だ。日産は業績の立て直しに向けて従業員の1割に相当する大規模な人員削減などを打ち出したが、2代続けてトップが辞任するようでは社員の士気が高まるはずもない。

 同社はゴーン時代に収益確保を優先して新車開発を疎(おろそ)かにしたことが、経営基盤の弱体化につながった。この反省から、今は新車開発の強化に取り組んでいる。電動化や自動運転など自動車関連技術の開発競争も激化しており、他社との協業も問われている。

 同社は西川氏の後任に内田誠専務執行役員の昇格を決め、12月1日付で新体制が始動する。内田氏は社内外に対して日産再生の青写真を早急に提示し、求心力を高めなければならない。それが資本関係の見直しを求めているルノーとの交渉にも影響を与えよう。

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