【外信コラム】「これらは持ち込めません」 中国の気になる線引き

 赴任のため北京の空港に着いたときのことだ。税関検査で荷物をX線装置に通すと、女性職員に「本が大量に入っているので調べさせてください」と笑顔で言われたので快く応じた。

 最初はパラパラと本をめくりながらの比較的気楽な雰囲気だった。だが、しばらくしてこちらが記者だと分かると顔色が変わり、周囲の職員を呼んで1冊ずつ確認を始めた。約30分後、数冊の本を手に「これらは持ち込めません」と告げられた。時間もなかったので「放棄する」と宣言すると事無く終わった。

 興味深いのは線引きだ。持ち込めなかった本には「香港 返還20年の相克」(遊川和郎著)や「南シナ海でなにが起きているのか」(山本秀也著)など時期的に注目されるキーワードがあった。「中国政治 習近平時代を読み解く」(毛里和子著)など習近平国家主席の名前が入った本も複数あった。一方、手元に残った本には「幸福な監視国家・中国」(梶谷懐、高口康太著)という判断に迷いそうな題名も。いずれにせよ線引きの基準は不明だ。

 ちなみに、中国の税関職員はどのように日本語の本を確認しているのか。スマートフォンのカメラで文章を撮影すると、すぐに中国語に翻訳されるアプリを使っているようだった。さすがIT活用大国だ。(三塚聖平「北京春秋」)

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