【主張】河井法相の辞任 「政権の危機」を自覚せよ

 河井克行法相が、7月参院選で初当選した妻で自民党参院議員の案里氏の選挙事務所の公選法違反や自身の関与などの疑惑を週刊誌に報じられ、辞任した。

 「饗宴(きょうえん)の儀」をはじめ天皇陛下の即位の礼関連行事の最中だ。公選法違反の疑いにより菅原一秀前経済産業相が事実上更迭されてから、わずか1週間しか経(た)たぬうちの辞任劇である。

 本当にお粗末で情けない。

 重要閣僚2人が短期間のうちに疑惑で辞める異常事態となった。しかも法相は「法の番人」といわれる。混乱の責任は、任命権者の安倍晋三首相にある。適材ではない人物を選んだ不明を恥じ、「政権の危機」を自覚すべきだ。

 首相は「責任を痛感する」と謝罪し「より一層身を引き締めて行政の責任を果たす」と語った。

 謝罪は当然としても、それだけでは不十分だ。説明責任を果たさなければ国民の納得は得られず、国会運営を含め国政は混乱しよう。自民党は、衆参両院で首相出席の予算委員会の集中審議を開催することを条件に、野党の反発で審議が止まっている国会の正常化を求めた。

 ならば、河井氏、案里氏、菅原氏ら関係者も国会に呼び、事実関係を説明させたらどうか。

 週刊文春の報道によれば、公選法違反の運動員買収に当たる可能性がある。参院選広島選挙区で当選した案里氏の事務所が、運動員13人に法定上限の倍額の日当3万円を支払い、法定内に収まるようにみせる偽の領収書を作った疑惑がある。候補者本人が知らなくても、秘書など一定の立場の者による買収が確定すれば連座制の適用で当選無効となる。

 案里氏の選挙活動を夫の河井氏が仕切っていたとの証言も報じられた。寄付行為を禁ずる公選法に反して、河井氏の事務所が地元有権者にジャガイモなどの贈答品を配った疑いも指摘された。

 河井氏は「私も妻も全くあずかり知らない」が、「国民の法務行政への信頼が損なわれてはならない」から辞任したとし、説明責任を果たすと語った。「私も妻も県民の皆さまに支持を訴え続けていたので、選挙事務所の事務は承知していない」とも述べた。

 トカゲの尻尾切りでないというなら、きちんと説明すべきだ。公正な選挙は民主主義の基本であり、疑惑の解明が必要である。

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