【主張】「身の丈」発言 受験生本位で制度見直せ

 大学入試の新共通テストで、英語の民間検定試験利用をめぐり混乱が続いている。萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言が批判され、撤回に追い込まれた。

 言葉尻を捉え受験生不在で批判する泥仕合は避けたいが、民間試験頼みの制度自体に問題がある。不安払拭のため、令和2年度からの実施は見送り、制度を見直すべきだ。

 新共通テストは大学入試センター試験に代わり、3年1月に最初の試験が行われる。

 このうち英語は、マークシート方式の試験と併せ英検など民間6団体7種の試験が利用される。受験する年度の4月から12月に受けた民間試験2回までの成績が大学側に提供される仕組みだ。

 一方で一回5千~2万円程度する民間検定料の経済的負担のほか、地方と都市部で会場数が違う地域格差の問題など、高校側から多くの不安が示されている。

 こうした不安に対し、萩生田氏はBSフジの番組で「裕福な家庭の子が回数を受けてウオーミングアップできるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないが、自分の身の丈に合わせて勝負して頑張ってもらえれば」「できるだけ負担がないように知恵を出したい」などと話した。

 発言を撤回したのは妥当だが、それでは足りない。指摘される問題点を見直してもらいたい。

 民間試験利用に必要な受験生の共通IDの発行申し込みが、11月1日から始まる。だが、文科省のまとめで、英語の民間試験の成績を合否判定に利用するとした大学・短大は国公私立合わせ6割にとどまっている。

 民間試験の利用は、マークシート方式では「聞く・話す・読む・書く」の4技能をみるのに限界があるためだ。いくら勉強しても英会話力が身につかない日本の英語教育を変える狙いがある。だが、民間試験を導入するだけで英語が身につくと考えるのは早計だ。

 英語力を問うなら各大学の個別試験で工夫し、入学後の教育を充実させればいい。入試は大学が責任を持ち行うべきことで、民間への丸投げは責任放棄に等しい。

 経済的状況にかかわらず挑戦できる社会を目指す安倍晋三政権なら、「身の丈」と言わず、大いに競い合える透明性ある制度をつくり、大学入学後に人材を鍛える教育を促してもらいたい。

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