【主張】若い世代のがん 治療と支援の充実進めよ

 小児や思春期、若年のがんは高齢のがんに比べて対策が遅れている。突然にがんだと知らされる若い世代が安心して治療を受け、当たり前の生活に戻れるよう、万全の支援をすべきである。

 国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが小児(0~14歳)と、思春期・若年成人のAYA世代(15~39歳)の調査をまとめた。

 小児がんを発症するのは年に2千~2500人だ。数は少ないが、子供の命を奪う大きな原因である。治療の専門性が高いため、国は全国に15カ所の「小児がん拠点病院」を指定し、治療の集約化を目指している。

 一人一人に効果的で、質の高い医療を提供するためだ。治療だけでなく、精神的に支えていく役割も欠かせない。拠点病院には、研究開発の役割も求められる。症例を蓄積し、治療の改善や開発に取り組んでもらいたい。

 しかし調査結果を見ると、集約化は十分に進んでいない。調査対象の約800の医療機関のうち、平成28年と29年に小児がんの初回治療が1~3例だったところが146もある。

 これらの医療機関で治療を受けた患者の4割が脳腫瘍だ。症例数が少なく、実績のある医療機関での治療が求められる疾患だ。

 子供が治り、希望を持って元の生活に戻るために、治療中も年齢に見合う学びや遊びを提供し、成長や暮らしに目配りをすることが必要である。

 例えば10代やAYA世代の患者には、学業をサポートする態勢が必要だ。20代なら就職や、治療と仕事の両立などの不安がある。個々に異なる不安やニーズに対応できる、きめ細かい相談支援の態勢を整えてもらいたい。

 ベストの医療を目指す一方で、患者や親族からすれば、なるべく近隣で治療を受けたいという気持ちがあるのは自然なことだ。

 治療が長期化すれば経済的な負担も大きい。

 こうした不安や悩みに丁寧に応え、疾患への理解を深めることが欠かせない。負担軽減を検討することも必要だろう。

 小児の場合は、治療後も長期に副作用などのフォローが必要になる。小児がん拠点病院が、地域の医療機関と連携を強め、身近な医療機関で相談できるようにすることも重要である。

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