【主張】北密輸船 無法国家の動きを封じよ

 北朝鮮産の石炭密輸に関与したとして、韓国政府が入港禁止の措置を取った複数の船舶が日本の港に出入りしており、政府も把握していたことを認めた。なぜ放置していたのか。甚だ疑問だ。

 核・弾道ミサイル開発の資金源となるため、北朝鮮の石炭輸出は、2017年8月の国連安全保障理事会決議が禁じている。

 韓国は18年8月以降、ロシア産と偽って北朝鮮産石炭を持ち込んだ疑いのある関係者を摘発し、使われた船舶の入港禁止の措置を取った。共同通信の集計では、その後26回、決議採択後からでは100回を超す日本寄港があった。

 政府は、立ち入り検査を実施し、石炭の運搬や国内法違反はなかったと説明するが、北朝鮮の息がかかっていることが明らかな船舶の寄港を認めること自体がどうかしている。石炭に限らず、制裁逃れの迂回(うかい)輸出に日本の港が利用されている恐れがある。

 北朝鮮制裁について安倍晋三首相は、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)などの外交の場で繰り返し、安保理決議の完全履行を呼びかけている。

 制裁逃れの舞台を日本が提供していたとなれば説得力を欠く。これら船舶に対し十分な検査、適切な措置を取っていたか検証し、入港禁止を含め、制裁逃れの阻止に万全を期してもらいたい。

 北朝鮮が犯罪ネットワークを世界各地に張り巡らせていることに留意せねばならない。密輸は複数の国を経由するなど、巧妙に実行される。

 安保理決議により、北朝鮮は石炭のほか、鉄鉱石や海産物、さらには、繊維製品など主要産品の多くが禁輸となった。にもかかわらず、北朝鮮は外貨を消費する核・弾道ミサイル開発を継続している。密輸のネットワークが機能しているとみるほかないだろう。

 北朝鮮向け高級車は禁輸対象だが、米シンクタンクは7月、密輸に関する調査報告書を公表した。中露など各国にまたがる密輸の経路には、大阪も含まれていた。

 非核化をめぐる米朝交渉は足踏みしている。トランプ米大統領は北朝鮮に甘い態度を取り、制裁緩和を求める中国、ロシアの声は次第に強くなっている。

 制裁決議の厳格履行を国際社会は守らねばならない。それを日本が主導するためにも、自国の穴を急ぎ塞ぐべきである。

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