【主張】米朝交渉 北を利する停滞許されぬ

 北朝鮮に核・ミサイル戦力を早期に放棄させる。それがトランプ米大統領が果たすべき務めであるのに、少しも前進していない。

 それどころか北朝鮮は準中距離弾道ミサイルに相当する新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)や、迎撃が難しい新型短距離弾道ミサイルの発射を繰り返している。

 非核化をめぐる米朝交渉を停滞させ、核・ミサイル戦力の強化を着々と進めている証左である。増大する脅威を、トランプ政権は真剣に受け止めているのか。

 米朝実務者協議の開催が見込まれるが、米国には、北朝鮮の時間稼ぎをもはや許さないという厳しい姿勢で臨んでもらいたい。

 口先の駆け引きでいたずらに時を費やし、非核化への行動を先送りさせてはならない。

 米朝交渉は、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長との4度目の首脳会談の実現や、交渉そのものの継続が目的ではない。甘い態度を直ちに改めるべきだ。

 意見の対立からトランプ大統領に解任されたボルトン前大統領補佐官は、9月30日にワシントンで行った講演で、金委員長が自主的に核兵器を放棄することはないとして、北朝鮮の非核化に向け、体制転換や武力行使を真剣に議論すべきだと強調した。

 極めて妥当な見解である。北朝鮮のような無法な国は力しか分からない。過去、北朝鮮を動かしたのは米国など国際社会による経済的、軍事的圧力だけだった。

 トランプ大統領は短距離弾道ミサイル発射を容認してしまった。米国が協議を主導してきた国連安全保障理事会も機能不全に陥り、明確な安保理決議違反である短距離弾道ミサイル発射に対し、一度も非難の声を上げていない。米韓合同演習も縮小された。対北圧力の低下は否めない。

 ボルトン氏は、短距離弾道ミサイルの技術はより長い射程のミサイルに適用できるとし、「のんびりした態度」で時間を費やせば北朝鮮を利すると警告した。

 ボルトン氏がホワイトハウスを去った直後に米側が妥協的になれば北朝鮮の思う壺(つぼ)である。より厳しい態度を取ることが正しいメッセージとなろう。

 北朝鮮のミサイル発射は絶対に容認できない。この問題をあやふやにしては、非核化交渉は先に進みようがないはずだ。

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