【主張】日本ラグビー 準備と団結の快勝である

 ラグビーとは、なんと人を興奮させ、感動させる競技だろう。ワールドカップ(W杯)日本大会に世界ランク1位で乗り込んだ優勝候補の一角アイルランドを、日本代表が19-12で破った。前回大会の初戦で強豪の南アフリカを破った一戦に続く大金星である。

 ただし、4年前に世界中のメディアを飾った「奇跡」の言葉は、もはやふさわしくない。前回大会の実績をベースに世界一といわれる厳しい練習と徹底的な研究を重ね、自信と確信を胸に大会に臨んでいた。十分な準備の末に堂々、互角に渡り合っての快勝である。

 主将のリーチ・マイケルは「30分だけ喜んで、次のサモア戦の準備をしたい」と冷静に話した。初戦の不調から先発を外れたが、途中出場で試合の流れを変えた。快勝の殊勲者でもある。

 リーチはニュージーランドから来日し、日本の高校、大学で学び日本国籍も取得した。日本代表の出身国は他にも豪州、トンガ、韓国、サモア、南アフリカなど多士済々だ。そんな彼らが日の丸に涙し、君が代を斉唱して「ワンチーム」の標語の下に団結する。今大会の日本代表はそんな集団だ。

 勝負を決めたのは、トライを挙げ、最終盤のスチールでアイルランドにとどめを刺した日本の切り札、快速ウイングの福岡堅樹だった。故障明けの途中出場で、期待された仕事を見事にこなした。それぞれが自身の役目を果たし、持ち味を存分に発揮する。それが理想的な組織である。

 前回大会では南アを下しながら8強に進むことはできなかった。リーチも話したように、続くサモア、スコットランド戦に万全の準備で臨んでほしい。

 日本代表の連勝もあり、大会は大いに盛り上がっている。

 外国同士の試合でも、会場はほぼ満員の観客で埋まり、歓声に包まれている。ウルグアイ対フィジー戦が行われた被災地の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムでも1万4千人の観客が興奮し、ボランティアの笑顔に見送られて満足げに会場を後にした。

 スポーツに熱狂し、一喜一憂する様は、幸せな光景である。

 願わくば日本代表の快進撃がこのまま続き、さらに大会を盛り上げてほしい。そしてこの興奮を、来年の東京五輪・パラリンピックにつなげたい。

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