【主張】関電側に多額金品 原発の信頼回復を妨げる

 原子力事業の信頼回復に向けて、先頭に立たなくてはならない自覚が希薄に過ぎる。これだけの事態が明るみに出ていながら、真摯(しんし)な反省すらみられない。関西電力は不正の全容を自ら明らかにし、改めて厳正に処分すべきである。

 関電の八木誠会長、岩根茂樹社長を含む役員らが、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品を受領していた問題で、岩根社長は27日、平成23年からの7年間で20人が計3億2千万円相当の金品を受け取っていたことを明らかにした。

 それだけの高額な金品を受け取りながら、「一時的に個人の管理下で保管していた」などと強弁を繰り返した。これでは不信感を増幅させただけである。

 岩根社長は「一番の問題は会社として対処すべき問題を個人として対処していたことだ」と述べながら、詳細については「個人情報」を理由に説明を拒否した。自らの矛盾にも気づいていない。

 3億超の金品は、高浜原発の工事受注にからんだ資金が元助役から還流した疑いがある。これが事実であれば、高額金品の原資は利用者の電気料金である。

 関電は「調査の結果、対価的行為もなく、(工事の)発注についても社内ルールに基づいて適切に実施した」「基本的に違法な行為ではなく不適切な行為だったので社内で処分を行った」と追加の処分は行わず、岩根社長も辞任を否定している。

 それで本当に利用者や地域住民の信頼を取り戻せると考えているのなら甘すぎる。他の原発立地自治体と電力会社の信頼関係も揺るがす事態だ。そうした姿勢で原発に対する厳しい世論と向き合うことができるのか。

 岩根社長は6月、大手電力会社でつくる電気事業連合会の会長に就任した。八木会長も28年6月まで電事連会長を務めた。

 日本のエネルギー、とくに原子力事業を牽引(けんいん)する重責をこの態勢に任せていいのか。菅原一秀経済産業相は「極めて言語道断でゆゆしき事態」と述べた。原発の信頼性に直結するだけに関電を厳しく指導すべきであろう。

 電力は国の根幹を支えるエネルギーであり、原発はこれを安定供給するために必要不可欠な存在である。その牽引役がこのていたらくでは健全な活用も望めない。

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