【主張】国連の首脳外交 イランは核合意にもどれ

 国連を舞台に各国首脳が繰り広げる一連の外交で、イラン問題が最重要テーマとなっている。

 サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けて危険度が高まった中東の緊張をいかに緩和に向かわせるか。日本を含む各国の外交努力以上に、まず問われるべきはイランの責任ある行動である。

 イランは米国による制裁強化に対抗して核合意の履行を一部停止した。タンカー攻撃事件への関与も疑われている。これ以上の事態悪化は避けなければならない。

 ここにきて米国とイランは双方が話し合いの可能性に含みを持たせるようになっている。

 トランプ米大統領は一般討論演説で、サウジ施設の攻撃にイランが関与したと強調し、「世界一のテロ支援国家」と難じたが、その一方で「友人として迎える用意がある」とも付け加えた。

 イランのロウハニ大統領は記者団に対し、米国の制裁解除を前提に核合意の修正や追加に応じる可能性があることに言及した。

 40年に及ぶ両国の敵対関係を踏まえれば、一気に関係改善が進むとは考えにくい。そうであってもイランには話し合いの意思を具体的な行動に移すよう求めたい。核合意の一部履行停止をやめることがそのための第一歩である。

 イランは自国に対する国際社会の厳しい目を認識すべきだ。英仏独の3カ国首脳は、米国の見方と同様、サウジの石油施設攻撃にイランが関与したとする声明をまとめた。「他に納得のいく説明がない」というのが理由である。

 イランが関与した明白な証拠が示されているわけではない。それはタンカー攻撃も同じである。それでもイランが疑われるのは、シリアやイエメン内戦に介入し、親イランの武装勢力などを支援しているからにほかならない。

 イランが中東を不安定化させる要因となっているかぎり、米国が制裁を解くことはあるまい。それが嫌なら、国際社会の信頼を得るための行動に踏み切るべきだ。

 安倍晋三首相はロウハニ師との会談で、両国が築いてきた信頼関係を確認し核合意への完全復帰を求めた。石油施設攻撃への関与については直接言及しなかった。

 日本は英仏独のような核合意の当事国ではないが、米国とイランの双方と密接に意思疎通できる立場にある。その橋渡し役を担うべく関わりを継続すべきである。

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