【主張】即位の礼1カ月 「伝統重視」を貫くべきだ

 天皇陛下が即位を内外に宣明される「即位礼正殿(そくいれいせいでん)の儀」まで1カ月となった。政府の式典委員会が細目を決定した。

 伝統を踏まえた儀式となることを歓迎したい。この伝統重視の姿勢を政府は貫くべきである。

 儀式では、天皇、皇后両陛下がお出ましになる経路について、昭和以前の形式を復活させる。平成の御代(みよ)替わりでは、参列者が直(じか)にお姿を見られる経路をとった。

 皇室に関わる行事はこのように、できるだけ旧例を踏むことが望ましい。国民が古くからの歴史を感じ、受け継いでいくことにもつながる。

 その観点から政府に再考してもらいたいことがある。11月に皇位継承に伴う最も重要な祭祀(さいし)である大嘗祭(だいじょうさい)が、皇居・東御苑に臨時に建設される大嘗宮(だいじょうきゅう)で執り行われる。その主要な建物が、伝統的な茅葺(かやぶ)きから板葺(いたぶ)きへ変更されることは伝統の軽視であると言わねばならない。極めて残念だ。

 大嘗祭は即位後の天皇が初めて行う新嘗祭(にいなめさい)で、国家国民の安寧や五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈られる。一世一度の祭祀であり、安易に形式を変えていいものではない。経費削減のためだとすれば本末転倒だ。

 有識者らは今年8月、「伝統を尊重した大嘗宮の御造営を求める要望書」を安倍晋三首相らに提出し、茅葺きとするよう求めた。要望書は大嘗祭を「国民統合の歴史的な形を示す重要な国家儀礼」と位置づけている。その通りである。自民党にも茅葺きにするよう求める声がある。

 即位の礼や大嘗祭に関して、憲法の政教分離原則などに反するという声が少数ながら存在するが、見当違いといえる。政府や国民は惑わされてはならない。

 天皇陛下が祈られることが、政治権力と宗教の分離を定めた憲法に反するわけがない。

 陛下が高御座(たかみくら)に昇られ、「内閣総理大臣」である首相が寿詞(よごと)を言上(ごんじょう)した後、万歳三唱し参列者が唱和する。このようなお祝いは、立憲君主である天皇を戴(いただ)く日本の国柄を示す。国民主権と少しも矛盾しない。

 即位の礼の際には、平成を上回る190以上の国や国際機関の代表の来日が予想される。万全の態勢で、警備や受け入れに臨まなければならない。

 国民こぞって皇位継承の大切な儀式を見守り、寿(ことほ)ぎたい。

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