【主張】深刻な台風被害 災害対策の総点検を急げ

 台風15号で大きな被害を受けた千葉県では、いまだに停電している地域が多く残る。

 新たな台風も日本列島に近づいており、東京電力は応援に駆けつけた全国の電力会社や自衛隊などと緊密に連携し、一刻も早い復旧に全力を挙げてもらいたい。

 9日早朝に関東地方に上陸した15号による被害は停電にとどまらない。暴風雨で被害を受けた千葉県内の住宅は一部損壊を含めて1万戸超に達する。県は被害状況を早期に把握し、国と共同で被災者に対して必要な支援を急ぐ必要がある。

 昨年の西日本豪雨などに続いて自然災害の脅威が改めて浮き彫りになった。従来の災害対策マニュアルでは迅速な対応ができない場面も増えている。

 人口減少が進む地方では、土木など専門知識を持つ自治体職員の不足も深刻だ。国の主導により、全国規模で災害対策の総点検に取り組まなければならない。

 一時は60万戸を超えた千葉県内の停電は、1万数千戸に減少したが、一部では倒木が道をふさぐなどの理由で復旧作業に時間がかかっている。停電の長期化で住民は疲弊している。現場の情報を官民が共有し、復旧作業の効率化を進めてほしい。

 東電の情報提供も混乱を広げた。同社は当初、11日中の復旧を目指すとしていたが、それを2回にわたって延ばし、現在は27日までに復旧させるとしている。

 現地の被災状況を確認しないまま、甘い想定で誤った情報発信につながったのは問題だ。

 行政の不手際も目立った。

 千葉県では停電で固定電話がつながりにくくなったほか、県と市町村を結ぶ防災電話と防災情報システムも一部で停止した。

 こうした事態が被害の全容把握や職員派遣の遅れにつながった。住宅被害については今も全容をつかんでいない。災害時でも情報が途絶しない連絡体制の構築が欠かせない。

 政府は発災の翌日に関係省庁対策会議を開いたが、動きは鈍かった。自治体の情報に依存していては、適切な災害支援の判断は難しい。被災状況の迅速な把握も課題である。台風による被害は深刻化する傾向にある。国と自治体は危機感を持って対応にあたってほしい。復旧に力を尽くすと同時に、反省点の洗い直しが必要だ。

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