【主張】内閣改造 憲法改正に不退転で臨め 悪化する国際情勢に備えよ

 第4次安倍再改造内閣が発足した。自民党の新執行部とともに新たな体制が整った。

 麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官、二階俊博幹事長ら枢要なポストは留任させた。日米通商交渉を前進させた茂木敏充氏を経済再生担当相から外相に、河野太郎氏を外相から防衛相に横滑りさせた。政権安定と政策の継続を内外にアピールしたといえる。

 11月に通算在職日数が史上最長となる安倍晋三首相には後継候補を育てようとの意欲もうかがえる。茂木、河野両氏を重要閣僚に、加藤勝信、小泉進次郎両氏を厚生労働相、環境相に起用したのはその証左だろう。

 ≪危機意識を共有したい≫

 岸田文雄氏も党政調会長に留任した。ポスト安倍を目指す彼らにとって、チャンスであり正念場でもある。閣僚も党役員も与えられた重責をどう果たすのか。国益を最優先に取り組むのは当然で、スタンドプレーは許されない。

 安倍首相は自民党総裁任期があと2年である。自身に残された課題解決の時間はないという危機感を持ち、国益に資する政策を果敢に遂行してもらいたい。

 やるべき課題は多い。首相が国難と捉える少子高齢化に対応した社会保障制度改革も急務だ。10月には消費税率が10%に引き上げられる。

 中でも、最も重要なのが憲法改正に向けた取り組みである。

 安倍首相は会見で「憲法改正を党一丸となって力強く進めたい」と強調した。安全保障環境は悪化の一途をたどる。憲法改正は待ったなしだ。日本が将来にわたって平和と繁栄を享受できるか否かが問われているのである。

 さきの国会のように審議すら行わず先送りするようなら、内閣も自民党も存在意義はない。その危機意識を閣内や党内で共有しなければならない。

 安倍首相は参院選後の会見で、憲法改正について「少なくとも議論すべきだという国民の審判は下った」と語った。ならば首相自らが先頭に立ち、改正の重要性を丁寧に国民に説明していく必要があろう。憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案は一歩も前に進んでいない。議論すらしないというのでは、与野党とも政治の無責任が極まる。職務怠慢だ。

 憲法改正の核心は、「戦力の不保持」を定めた9条2項の改正である。その前段として憲法に自衛隊を明記することは大きな意義がある。

 平和憲法のお題目の前に思考停止し、戦後74年間、改正一つできないでいるわが国の国内事情を諸外国は斟酌(しんしゃく)しない。むしろ積極的に隙を突いてくるだろう。

 新内閣は、これがラストチャンスだという不退転の決意で憲法改正に取り組まねばならない。

 ≪中露外交を仕切り直せ≫

 日本を取り巻く国際情勢も厳しさを増している。

 中国は尖閣諸島を狙い、南シナ海では国際法を無視して人工島の軍事化を進めている。陸海空に加えて、宇宙やサイバー、電磁波といった新たな領域で覇権を目指している。安倍首相は中国との関係を「完全に正常軌道に戻った」と言うが、信頼に足る隣国とはだれも思うまい。中国とどう向き合うか。首脳外交はもちろん、茂木外相の真価も問われる。

 北方領土をめぐるロシアとの関係を仕切り直す必要があろう。安倍首相はロシアの思惑を完全に読み違えた。プーチン露大統領は北方領土を一片も返すつもりがないことは今や明白となった。シベリアでの経済協力を主導した世耕弘成前経済産業相が閣外に出たのはむしろ良い機会だ。四島返還の原点に立ち返るべきである。

 北朝鮮は核放棄せずミサイル発射をやめない。日本の安全を揺るがす直接の脅威だ。トランプ米大統領が咎(とが)めずとも不測の事態に備えなければならない。拉致問題では被害者家族の我慢も限界だ。首相はあらゆる場面を捉えて大胆に行動してほしい。中東のホルムズ海峡の安全は原油の8割を頼るわが国の生命線だ。有志連合への参加も真剣に検討すべきである。

 今秋には、即位の礼と大嘗祭(だいじょうさい)がとり行われる。緊張感を持って準備を進めてもらいたい。

 天皇陛下と皇嗣の秋篠宮殿下の次の世代の男性皇族は悠仁親王殿下お一人だ。日本の国柄を守るため、皇位の安定継承の方策を整えることも新内閣の責務である。

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