【外信コラム】「中国なんて怖くて住めない」混迷の度が深まる香港情勢 “商機”と見る目も…

 「もう少し長引いたら動きが出てくるかもしれません」

 支局に出入りしている現地不動産業者の男性が世間話ついでにこう話していった。「長引いたら」とは、「逃亡犯条例」改正問題を発端とした抗議が続く香港のことだ。不安定な状況を避けるため、シンガポールへの移住が増える可能性を視野に入れているという。

 実際、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、複数のシンガポールの不動産業者の話として、香港からの問い合わせが2カ月間で30~40%増加したと報じた。富裕層が中心とみられるが、不測の事態に備え、バックアップ用の住居を構えたいと思う意識が働いているといえるだろう。

 現状はまだ購入者が殺到しているわけではなく様子見といった状況なようだ。だが、中国語が通じる国でもあり政情が安定するシンガポールは、混乱の香港からは魅力的に映るのかもしれない。1997年の香港返還前には香港から企業や資産がシンガポールに移る動きも見られた。

 冒頭の不動産業の男性は華僑だが「中国なんて怖くて住めない」と話し、「今回のデモが収束したとしても、長期的に見て移住したいと思う香港人は多いはずだ」と分析する。混迷の度が深まる一方の香港情勢だが、“商機”と見る目もあるようだ。(森浩「マーライオンの目」)

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