【主張】アマゾン大火災 「地球の肺」の危機を救え

 ブラジル北部アマゾンの熱帯雨林で発生した大規模火災が気がかりだ。アマゾンでは近年、森林火災が多発しているが、今回のものは過去最大規模であるという。

 広大な同地の熱帯雨林は、強い太陽光を受けて大量の二酸化炭素を大気中から吸収し、それと引き換えに新鮮な酸素を吐き出している。

 「地球の肺」と呼ばれるゆえんである。また密生する原生林は豊かな降雨を蓄え、地球の水循環に大きなウエートを占めている。

 熱帯雨林には、さまざまな植物が繁茂し、微生物をはじめ昆虫や貝類、両生爬虫(はちゅう)類、魚類、鳥類、哺乳類などが生息している。生物多様性の宝庫なのだ。

 この貴重なエリアが、炎に包まれ、焼き尽くされ、灰になっていく。いったん地面が露出すると降り注ぐ雨によって土壌が削られ、回復困難な不毛の大地に変貌してしまう。

 大火災が引き起こす事態は、ブラジルの国内問題の範囲にとどまるものではない。地球規模の深刻な環境問題だ。

 同国のボルソナロ大統領は、火災の鎮圧に全力を集中すべきである。面子(めんつ)にこだわっている場合ではないだろう。

 先月末に開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)でもアマゾンの火災が議題に上り、2千万ドル(約21億円)の緊急支援が合意されたが、ボルソナロ氏は受け取りに背を向けたのだ。

 アマゾンの熱帯雨林伐採は、長年にわたって続いている。それが現政権の極端な経済活性化政策でさらに加速し、森林火災が多発するようになっていた。地下の鉱物資源も開発の目的だ。

 日本の気候変動観測衛星「しきさい」が、宇宙から今回のアマゾンの火災の様子を捉えている。

 フィッシュボーン・ディフォレステーション(魚の骨状の森林喪失)と呼ばれる、伐採に特異的な模様が地表に広がり、その各所から猛煙が空に上っている。人間の欲望が赤道直下の緑の大地に刻んだ愚行の傷痕に他ならない。

 菅義偉官房長官は先日の会見で「日本としても必要な支援を行いたい」と述べた。

 効果的な消火活動には「しきさい」からの情報提供が最良の支援となろう。放火や違法伐採の監視においても役に立つ。資金拠出だけが協力の道ではない。

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