【主張】北のミサイル発射 安保理沈黙は米の責任だ

 北朝鮮が短距離ミサイル発射を繰り返しているのに、国連安全保障理事会は警告すら発しない。安保理の権威を揺るがす深刻な事態である。

 ミサイル発射は7月25日以降、7回に及び、その多くは短距離弾道ミサイルだと日米韓は分析している。安保理決議は北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったあらゆる発射を禁じている。当初より、安保理が決議違反に非を鳴らすべき状況である。

 一連のミサイル発射で、安保理会合が2度開かれたが、英仏独3カ国による非難の声明が出されただけで、安保理として行動を起こすには至らなかった。怠慢というべきだろう。

 安保理決議は、北朝鮮に核・弾道ミサイルを放棄させるのが目的であり、そのため、北朝鮮制裁として、国連加盟国に禁輸措置などを義務づけている。

 日米などは、北朝鮮への圧力として再三、加盟各国に決議の厳格履行を求めてきた。だが、肝心の核・ミサイルの部分で違反が見過ごされるようでは、そうした呼びかけは説得力を持つまい。

 これは、安保理の存在意義にかかわる問題だ。国際の平和と安全に責任を負う安保理は常に、決議違反に毅然(きぜん)とした態度で臨まなければならないはずだ。

 今回、安保理が沈黙する最大の要因は、トランプ米政権が短距離ミサイル発射を問題視しない姿勢に終始していることだ。

 そもそも、北朝鮮問題に関する安保理協議は米国が主導し、北朝鮮を擁護する中国、ロシアの抵抗を押し切って、米国案の制裁決議を重ねてきた。

 ところがいま、その米政権が北朝鮮を擁護しているかのような振る舞いである。米国が動かないなら、中露が動くわけもない。トランプ大統領は北朝鮮との間で、「短距離に関する合意は交わしていない」とも述べているが、自分との約束さえ守れば、違反は構わないとする態度はおかしい。

 北朝鮮の短距離弾道ミサイルは日本の一部も射程に収める。東アジアの平和に対する大きな脅威である。一連の発射は、技術向上を図ったものだとみるべきだ。

 一連のミサイル発射の早い段階で安保理や米国が行動を起こしていたら、挑発はここまでエスカレートしていなかったはずだ。日本など関係国を含め、国際社会としての対応を見直すべきときだ。

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