【主張】「内政干渉」非難 首相は訪露をとりやめよ

 北方領土を不法占拠しているロシアが、日本政府からの最近の抗議に対して、「内政干渉に極めて近い」などと反発してみせた。

 盗っ人猛々(たけだけ)しいとはこのことだ。

 日本政府は、メドベージェフ露首相の北方領土・択捉島訪問や、国後島周辺での露軍の演習について、「わが国の立場と相いれない」などと抗議した。

 これに対し、モルグロフ露外務次官が6日、上月豊久駐露大使を呼び出し、日本の抗議は内政干渉も同様だとして「受け入れられない」と伝えた。露外務省は声明で「島は第二次世界大戦の結果として合法的にロシア領となった」と主張した。

 日本政府の抗議は当然で、ロシアの反論は到底容認できない。安倍晋三首相は露極東ウラジオストクで9月に開かれる「東方経済フォーラム」に出席する意向だが、とんでもない話である。訪露はとりやめるべきだ。

 腰が引けた対露姿勢が今回も露(あら)わになったのは残念だ。

 上月大使が、モルグロフ次官に対し、露首相訪問は日本の立場と相いれず、軍事演習は容認できないと反論したのは妥当である。

 だが、その後がいけない。

 菅義偉官房長官は7日の記者会見で「平和条約交渉を静かな環境の下で進める観点があるので差し控えたい」と述べ、「内政干渉」との対日非難に反論しなかった。安倍首相は同日、小泉進次郎衆院議員と滝川クリステルさんの結婚に祝意を述べたが、北方領土については何も語らなかった。

 日本政府は8日、観光庁の審議官をモスクワに派遣して、北方四島での共同経済活動の一環として実施を目指す観光事業に関する日露協議を行った。

 これではロシアに侮られるわけだ。露政府は8日、メドベージェフ首相が各省庁に、北方四島などの経済発展計画案を作成して9月2日までに提出するよう命じたと発表した。8月8日はソ連が1945年に日ソ中立条約を破って対日宣戦布告をした日で、9月2日は「対日戦勝記念日」だ。

 安倍首相や菅長官は自らの言葉で、ロシアの強硬姿勢を非難すべきだ。そのうえで、北方四島は全て日本に返還されるべき固有の領土だという従来の日本の方針に立ち戻り、対露外交を練り直す必要がある。

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