【主張】笑顔のシンデレラ 歴史が育んだ新星誕生だ

 女子ゴルフの渋野日向子が、メジャー大会の全英女子オープンで優勝した。終始笑顔を絶やさぬプレーに英BBC放送は「スマイリング・シンデレラ」と表現した。

 日本勢のメジャー勝利は、1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子以来42年ぶりだ。米女子ツアーで賞金女王となった岡本綾子や、世界ランキング1位に輝いた宮里藍らも成し遂げられなかった快挙である。

 とはいえ新ヒロインは、突如として現れたわけではない。渋野は今季の日本ツアーで2勝を挙げた実力者であり、国内外でしのぎを削り続ける同じ98年度生まれの「黄金世代」の一翼でもある。

 そして黄金世代は、日本の女子ゴルフ界の歴史が育んだエリート集団であるともいえるのだ。

 42年前に全米女子プロで優勝した樋口は97年に日本女子プロゴルフ協会の会長に就任すると、大胆な改革に乗り出した。ジュニア選手の育成にも力を入れ、アマチュア選手の試合数制限も撤廃して若手の成長を促した。

 取り組みは岡本を追って米国ツアーを転戦した現会長の小林浩美に受け継がれた。宮里らは改革の恩恵で早くからツアーに参加し、スター選手に育った。

 宮里が高校3年生でプロに転向した2003年は、渋野ら黄金世代が4~5歳で、多くがゴルフを始めた時期に重なる。宮里が世界ランク1位となった10年は12歳前後だった。黄金世代の視線の先には常に宮里の姿があり、宮里への憧れが個性豊かな強い集団を生んだのだった。

 15歳で日本ツアー初優勝を飾った勝みなみや、プロ転向を挟んで日本女子オープンを連覇した畑岡奈紗がその代表格だろう。畑岡は米ツアーでも3勝を挙げ、昨年の全米プロはプレーオフで敗れて惜しくも2位に終わっていた。

 勝や畑岡の活躍が、同年生まれの選手らに自信を与えた。新垣比菜、大里桃子、河本結、原英莉花らが日本ツアーで優勝者となっており、渋野もその一人だ。

 来年6月末の世界ランキングで東京五輪の代表選手が決まる。渋野は全英制覇で有力候補に名乗りを上げた。先輩プロらも意地をみせるだろう。黄金世代より下の「プラチナ世代」にも注目は集まっている。日本女子ゴルフの活況は、樋口や宮里が歩んだ道の延長上にある。

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