【主張】ウルムチ暴動10年 中国の弾圧強化を許すな

 中国の新疆ウイグル自治区で、民族衝突が流血の惨劇となった2009年7月のウルムチ暴動から10年がたった。

 この間、事件の真相は不明確なまま、中国政府によるイスラム系少数民族への監視と弾圧だけが強化されてきた。民族の尊厳と生存を脅かす人権抑圧であり、絶対に許してはならない。

 当時、イスラム教を信仰するウイグル族と入植した漢族が、中心都市ウルムチで凶器を手に数日にわたり集団で衝突した。中国の治安部隊が武力で鎮圧した。

 当局発表では漢族ら「197人」が死亡、1700人以上が負傷したという。他方、在外の民族団体などは鎮圧やその後の処刑でウイグル族数百人が亡くなったと指摘する。今も客観的な検証結果がないことは極めて遺憾だ。

 中国政府は09年9月公表の白書で、衝突はイスラム原理主義などの海外勢力が「綿密に画策、組織した」と非難した。今年3月の発表で、同自治区に絡み「テロリスト」として拘束された人々が14年以降1万3千人に上るとした。

 治安が乱れる責任を、ウイグル族など少数民族ばかりに押しつける一方的な主張であり、極めて疑問である。

 中国政府による「職業訓練」と称したウイグル族の強制収容に対しては、国際的な批判が高まっている。

 中国政府は「予防的反テロ」の措置だというが、納得できない。一部の海外メディアに公開された強制収容施設では「私は中国人」「党と政府に感謝する」と繰り返すウイグル族の姿があった。収容者に迎合を強いるばかりか、洗脳した恐れすらうかがえる。

 米国務省は18年版の国別人権報告書で、ウイグル族などのイスラム教徒について「80万人から200万人以上が宗教的、民族的アイデンティティーを奪う収容所に入れられている」と指摘した。ポンペオ米国務長官が「中国は人権侵害という点では抜きんでている」と批判しているのは当然だ。

 暴力の連鎖を断つ第一歩は、中国政府が不当な民族弾圧を停止することだ。強制収容者らの一刻も早い解放が急務である。

 日本政府は日中関係の進展に自信を示している。そうであるならば、ウイグル族など人権状況の改善を中国政府にもっと強く働きかけねばならない。

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