盟友ハリス大将との縁 前統合幕僚長・河野克俊氏

 【話の肖像画】前統合幕僚長・河野克俊(64)(7)

 〈自衛隊のトップとして日米同盟に携わった間、河野氏はカウンターパートに恵まれたという。なかでも米太平洋軍司令官を務めたハリー・ハリス大将(現駐韓米国大使)とは、盟友関係を構築した。日系人として米海軍大将になったハリス氏だが、河野氏は人間としての魅力を評価している〉

 ハリスは私より2歳年下ですが、アメリカ軍の人たちからも「あの2人はよく似ているな」と言われていました。

 私が海上幕僚長のときにハリスは太平洋艦隊司令官をやり、こちらが統合幕僚長になると向こうは太平洋軍(現インド太平洋軍)司令官になりました。2配置続けてカウンターパートになったわけです。「ハリスさん」「カワノサン」と、相手を呼ぶのは日本語でしたね。

 おかげさまで、長くやることのメリットはそういうところにありますね。ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長も4年やっていて、気心の知れる間柄になりました。

 飾らないで付き合うことが大事です。肩肘張らず、見栄(みえ)も張らず付き合う。そうすることで、相手の考えることも分かるようになります。

 〈互いに命をかける仕事だけに、相手を信頼できるかどうかは死活的に重要となる。ハリス氏は母親が日本人だが、アメリカ人として育てられた。母には「義理と人情」という価値観を小さいころから教えられたという〉

 日系人だからとかハーフだからではなく、やはり人としての魅力ですね。彼は日本のこと、日本の親戚のこと、お母さんのことをとても誇りに思っている。日本語は基本的に使いませんが、ときどきカタコトの変な言葉をしゃべります。

 彼に言わせると横須賀で生まれてテネシー州に帰ったときに、お母さんは息子をアメリカ人として育てる決意をして、日本語は使わせなかったそうです。

 ハリスはゴルフはしないのですが、酒は好きでして、よく彼の官舎に行ったりホテルに行ったりして飲みました。韓国大使になってからも、東京に来たときに会って飲んでいます。

 〈太平洋軍司令官当時、尖閣諸島を中国が攻撃すれば「米国は間違いなく、日本を防衛する」とハリス氏は発言した。米側はかねて日米安保条約に基づく尖閣防衛には言及していたが、ハリス氏は「中国の攻撃」とずばり指摘したことが注目された。同盟国を守る意志は強い〉

 ハリスは統合参謀本部の議長補佐官の時には、ヒラリー・クリントン国務長官のアドバイザーでした。グアンタナモベイ収容キャンプの司令官も務めるなど、いろんな仕事をしています。在日米海軍司令官の副官をしていた頃、太平洋軍司令官まで上がってくる人とは思いませんでしたけどね。

 〈さまざまな道を経て太平洋軍のトップに立ったハリス氏の人生にも、河野氏は共感を覚えるようだ。ハリス氏の老後の話については少しうらやましそうだ〉

 アメリカに帰ってから住む家を今、コロラドに建てている。韓国大使を辞めたら、もう仕事はしないつもりみたいです。(聞き手 石井聡)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ