【主張】ISと日本 准教授過激化の事実重い

 2016年のバングラデシュのテロ事件に関与したとして公開手配された日本国籍の元大学准教授、モハマド・サイフラ・オザキ容疑者がイラク北部で米軍に拘束されていることが分かった。

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の戦闘員として、組織中枢やテロ情報に接することのできた「重要かつ危険な人物」として尋問を受けている可能性があるという。

 ダッカでの飲食店襲撃テロでは日本人7人を含む20人が犠牲となった。オザキ容疑者はテロ組織への資金提供や若者らを勧誘した疑いが持たれている。バングラとの二重国籍とはいえ、れっきとした日本人テロリストだ。約15年間、日本で暮らし、日本の大学で学び、教えていたという事実を重く受け止めねばならない。

 オザキ容疑者は02年に日本の大学に留学し、同窓生の日本人と結婚して、15年から立命館大で経営学を教えていた。16年初め、家族とともに消息を絶った。

 もともとヒンズー教徒でイスラム教に改宗したのは日本に来てからだ。

 日本でなぜ過激思想に走ったのか。足取りや交友関係を米軍を通じ詳しく聞き出す必要がある。日本側としても行動や周辺の洗い出しを進めねばならない。仲間や支援者の存在も否定できない。

 ISなどイスラム過激組織のテロは、社会に不満を持つ若者の勧誘や戦闘員としての訓練、資金、武器の提供など、世界規模での作業を経て実行に移される。

 オザキ容疑者の一件は、その一端が日本で担われていることを示唆している。日本経由でテロリストが移動している疑いもある。

 世界規模のテロとの戦いの一環として、こうした可能性をすべて排除していかねばならない。

 シリアとイラクにまたがる広大な地域を支配した疑似国家としてのISは消滅した。だが、その本質は暴力的過激主義であり、その脅威は続いている。

 インターネット上の動画では、ISの指導者、バグダーディ容疑者とされる男が、組織の健在ぶりをアピールし、欧米やアフリカでのテロを呼びかけた。

 日本はイスラム過激主義とは無縁という楽観はただちに捨てなければならない。東京五輪を来年に控え、テロ警戒へ一層気を引き締めるべきときである。

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