【主張】食品ロス削減法 「もったいない」を商機に

 食べ物が無駄に捨てられてしまう「食品ロス」を減らすための食品ロス削減推進法が24日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。

 推進法は、消費者や事業者への知識普及や啓発のほか、政府や自治体にも食品ロスを削減する努力義務を盛り込んだ。

 飽食の日本にとって食品ロスは喫緊の課題だ。やるべきことはたくさんある。「もったいない」という日本の文化を国民全体で見つめ直し、無駄を少しでも減らしていく機会としたい。

 全国で生産される食料は平成28年度の推計で8088万トンだ。このうち、食品ロス量は643万トンに上り、国連が食糧難に苦しむ国や機関などに支援した2年分に相当する。

 注目したいのは、企業側の取り組みだ。コンビニエンスストア大手のセブン-イレブンなどは、販売期限の迫った弁当などへのポイント上乗せを検討中だ。実質的な値引きで食品ロス削減を図る。

 公正取引委員会は21年、これら商品の値下げ販売を求めるコンビニオーナーの要望を認めない同社に対し、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で排除措置命令を出した経緯がある。ポイント還元は消費者を含めてメリットがあるだろう。

 ファミリーマートは、大量廃棄が問題となっているクリスマスケーキや恵方巻きなどの季節商品を完全予約制にする。

 西日本シティ銀行(福岡市)の取り組みも面白い。融資先の中小企業が抱える売れ残った加工食品をネットで再販するサービスを始めた。

 銀行が融資先をインターネット通販側に紹介し、売買が成立すれば仲介手数料を得る。佐川急便が集荷と配送を担う。

 業界の納品ルールの見直しも急務だ。短い納品期限の緩和を進めれば、それだけ食品ロスの発生を防ぐことへの期待を持てる。再利用の動きもある。JAなどは学校給食での食べ残しを加工し、飼料や肥料に生かしている。

 困窮家庭に食品を寄付するフードバンク活動支援も推進法に盛り込まれている。社会福祉活動を支えるために、提供された食料を保管する場所を自治体が確保するなど、手助けが必要だろう。

 推進法は食品ロス削減を国民運動と位置付けた。政府と企業、国民一体の取り組みが不可欠だ。

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