【主張】増加続く「空き家」 住宅の大量供給を見直せ

 全国で空き家が増加している。総務省の住宅・土地統計調査によると、昨年10月1日時点で846万戸と5年前より26万戸増え、過去最多を更新した。住宅総数に占める空き家の割合も過去最高の13・6%に達した。

 今や、国内の8軒に1軒が空き家という状態である。管理が不十分な空き家が増えれば、治安や周辺景観の悪化を招くことになる。

 地元自治体が空き家を解体できる特別措置法の施行に伴い、この4年で約120軒が処分された。しかし、解体費用の多くは自治体が負担している。

 なるべく空き家を増やさないよう、利用しなくなった住宅は早期に売却を促すなどの仕組みづくりが求められる。中古住宅市場の活性化も不可欠だ。人口減少社会を迎え、住宅の供給過剰の是正にも向き合う必要がある。

 住宅総数も5年前の前回調査と比べて179万戸増え、6242万戸と最多を記録した。

 空き家の半数以上を賃貸用住宅が占めるが、住人の住み替えや引っ越しに伴い、長期にわたって人が住んでいない「その他住宅」が急増している。持ち主が不明となるのは、この住宅が多い。

 都道府県別の空き家率は、山梨が21・3%と最も多い。次いで和歌山、長野と続くが、大阪が15・2%、東京で10・6%となるなど都市部でも空き家が目立ち始めている。空き家問題は過疎地に限ったものではない。全国的な対策が急務である。

 自治体の中には独自に「空き家バンク」を設けて空き家情報を公開し、創業する若者らに利用を呼びかける動きもある。こうした空き家の有効利用も重要だが、何より、空き家を生まない制度づくりが欠かせない。

 政府・与党の税制改正では、相続で取得した家屋や土地を売却した際にかかる譲渡所得を差し引ける減税を延長した。今後は相続による土地登記を促す支援なども検討すべきだ。

 しかし、日本では年90万戸以上の新築住宅が建設されている。住宅を使い捨てにするような新築偏重の政策が、空き家が中古市場で流通しにくい大きな要因でもある。中古住宅の取引を促す制度改革も急ぐべきだ。

 もはや住宅の大量供給時代は終わった。農地や郊外での住宅建設を抑制する規制も必要だ。

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