【主張】米国とアフガン 「テロの温床」根絶を貫け

 トランプ米大統領が、アフガニスタンの米軍部隊の撤収・縮小に意欲を示している。

 一般教書演説では、反政府武装勢力、タリバンなどと「建設的な話し合い」を行っており、交渉が進めば、部隊を削減できると強調した。

 アフガンでは、治安悪化に歯止めがかからない。政府の統制が及ぶ地域は全土の50%超にすぎず、自前の治安部隊は数も足らないのが現実だ。

 こうした状況下で、米軍撤収に向けた議論をすること自体、唐突な印象を受ける。トランプ氏の「選挙公約」以外の理由を見いだすのは難しい。

 2001年9月、米中枢同時テロが起きたとき、アフガンは、旧ソ連の支配に抵抗するなどした各派による長年の内戦の末、テロの温床と化していた。

 同時テロを起こした国際テロ組織アルカーイダをかくまっていたのがタリバンである。アフガン駐留米軍の撤収・縮小の判断は、テロとの戦いの原点に立ち返って行うべきだろう。

 アフガンが再び、テロの温床とならない。テロ組織が拠点をつくり、戦闘員を訓練して、世界に拡散させる事態は起こりえない。そう確信できる状況が必要だ。過激組織「イスラム国」(IS)の浸透という新たな不安への目配りも欠かせない。

 01年以来の米軍の「最長の戦争」、武装解除、国造り支援など、20年に近い国際社会の努力を無駄にすることはできない。

 トランプ氏は昨年12月、米軍のシリアからの全面撤収を表明し、一般教書演説では、アフガン、シリアを含む、米軍の海外展開を縮小する意向を示した。

 だが、アフガンや中東の不安定な地域では、米軍の存在自体が、テロとの戦いで大きな役割を果たしている。同盟国や有志国が一致して行動するとしても、中心となる米国の力が不可欠だ。縮小には慎重な判断を求めたい。単独で厳しいなら、関係国に協力を求めるべきだ。

 米国の「交渉相手」となったタリバンは麻薬を生産し、イスラム原理主義を掲げて極端な女性差別策を実行し、他の宗教を排し、少数民族を迫害した。

 政治勢力として受け入れるには、そうした手法、主張を捨てさせる必要がある。部隊削減ありきの拙速な交渉は避けるべきだ。

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