【甘口辛口】ノブレス・オブリージュという“よろい”を脱いだ元稀勢の里、現役時代の苦労など包み隠さず話してくれる日が来るのを待ちたい

 ■2月8日 ノブレス・オブリージュ。このフランス語を直訳すれば「貴族の義務」。広辞苑を引くと「高い地位に伴う道徳的・精神的義務」とある。元相撲記者の作家、須藤靖貴さんは横綱稀勢の里に接する度、この言葉を思い出したという。

 「横綱になってから数回、田子ノ浦部屋へ行ったときは常にピリピリしていました。これまで72人しかいない横綱だけに想像するしかないですが、どれほどの重圧がかかっていたか。私なら『今日は楽してもいいか』と思えるけど、横綱は24時間365日横綱なんですね」。その地位は強さだけでなく品格も問われる。しかも19年ぶりに誕生した日本出身横綱。国民からかけられた大きな期待を裏切れない。確かに稀勢の里はノブレス・オブリージュを実践していた。

 その元横綱が柔和な笑みを浮かべていた。氷雨降る中、須藤さんと田子ノ浦部屋を訪れたときだ。稽古が終わり、まわし姿でわれわれに見せた荒磯親方の表情は、横綱時代にはなかったほど柔らかかった。

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