【主張】特別養子縁組 子の安全と幸せ最優先に

 子供を育てられない親に代わり戸籍上も養親の「実子」とする特別養子縁組について、法制審議会の部会が、対象年齢を広げるなど見直し案をまとめた。政府は今国会への民法改正案提出を目指している。

 虐待など痛ましい事件が相次ぐ中、養育能力のない親から引き離し、子供を守るため必要な見直しである。子供の安全と幸せを最優先に進めたい。

 特別養子縁組制度は昭和63年に始まった。普通養子縁組との違いは、生みの親との法的親子関係を解消し、戸籍上、養親の実子と同様に記載される。半年以上の試験養育期間を経て家庭裁判所の審判で可否が判断される。安定した親子関係を築くことに配慮した制度であることを理解したい。

 しかし特別養子縁組成立は年500~600件にとどまり、条件緩和を求める声があった。

 見直し案は「原則6歳未満」という対象年齢を「原則15歳未満」に広げる。対象が思春期など多感な時期を含むことになる。専門家が相談に乗る態勢も含め、養親と子を孤立させない十分な配慮が欠かせない。現在は新生児の縁組が多いが、成長に従って長期的なケアももちろん必要だ。

 養親に加え、児童相談所長からの申し立てを可能にする。実親に養育能力がないことなどを立証する上でも現実的だろう。

 親子関係が破綻していても親権にこだわる実親もいる。そうした親との話し合いを含め、子供の利益を考え、養子縁組の橋渡しに積極的で経験がある職員がいる児童相談所もある。

 そうした知見を国が集め、拠点に専門職員を配置するなど工夫も必要である。

 児童虐待や経済的事情などで親元で暮らせない子供は約4万5千人に上る。約8割が児童養護などの施設で暮らしている。頼れる親族もなく施設での生活が長期化することが少なくない。

 養子縁組が多い欧米に比べ、日本は施設での集団処遇が一般的だった。だが虐待などで愛情に恵まれなかった子供にとって、養子縁組などによる家庭的環境の充実の必要性が増している。

 家庭で子供をあずかり養育する里親制度などを含め、多くの人が子供の福祉をかなえる制度に広く関心を持ちたい。子は「国の宝」との言葉を忘れてはならない。

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