台湾の料理店に「烏酢」と書かれた調味料 これは酢か、それとも…

【台湾有情】

 台湾のギョーザや鍋料理の店では、つけだれは客が作るのが一般的だ。酢やしょうゆ、唐辛子などの調味料を自分の好みに合わせて調合する。

 ある日、いつもの酢に変えて「烏酢」と書かれたものを使ってみた。見た目が黒いので長年、「台湾では黒酢のことを烏酢と呼ぶのだろう」と思い込んでいたが、口に入れてびっくり。薄めのウスターソースの味がする。

 調べてみると、材料は「酢、塩、砂糖、香辛料、野菜や果物の煮汁」などとある。やはりソースではないか。台湾在住の日本人の間でもわりと知られているらしく自らの不明を恥じはしたが、ギョーザや鍋物にソースとは。もはや料理のジャンルを超えている。

 台湾の食べ物の味はあらかた知ったつもりでいたが、灯台下暗し。いつもの店で自分だけが周りの人と違うものを食べていたような気分になった。

 台湾人の助手に話すと、「烏酢も酢ですよ」とピンとこない様子。そうめんのような細い麺「麺線」をかつおだしでとろとろに煮込んだものにも、アクセントに足すのだという。

 ウスターソースも発祥の英国では下味用で、日本のように料理にかけることはないと聞く。正解はないのかもしれないが、名前一つで使い方が変わる。言葉の印象とは面白いものだ。(田中靖人)

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