新春対談 安倍晋三首相×バイオリニスト・五嶋龍氏(2-2)

 首相 私は北朝鮮の問題について、これまで100カ国以上の首脳と会談し、説明してきました。北朝鮮に対してヨーロッパの国々は関心が薄い。脅威と感じてませんからね。ましてや拉致問題は同情してはくれますが、残念ながら他人事だったし、ほとんどの国は知らなかった。

 しかし、今は日本に対する支援を明言した国は相当の数に上っています。G7(先進7カ国)にも私から詳しく説明した結果、一昨年、国連で相当厳しい制裁決議が中国もロシアも賛成する形で決議された。日本が主導し、いわゆる「瀬取り」を阻止するため自衛艦を派遣し、米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドも参加している。北朝鮮は国際社会の要求に応えざるを得ない立場になりつつあります。日米同盟の信頼関係の中でここまで来ることができた。今後は五嶋さんの指摘通り、拉致問題について日朝間で話をしなければ解決しないと思っています。

見返りを求めてる

 五嶋 ただ、北朝鮮は明らかに独裁政権で、制裁をかけるだけではなかなか折れないと思います。折れたとしても、向こうは日本が何をよこしてくるかを考えている。果たして拉致被害者全員を日本に返してもらうところまでやってくれるかは非常に難しい。

 櫻井 向こうの独裁者の耳には届かないかもしれないけれど、私たちは被害者全員を即時に返せとずっと要求し続けています。

 五嶋 僕は届くことはあると思います。届くのは被害者の気持ちではなく、北朝鮮のリーダーである金委員長は経済的に国を変えて救世主になりたい。だから彼の求めているうちのインセンティブがあるもののみに耳を貸すのだと思います。

 首相 それはもうあります。彼らがまともな行動をとっていけば今の制裁は緩和していく。核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決すれば、日本と北朝鮮は不幸な過去を清算し、国交正常化する。韓国は日本と1965(昭和40)年に締結した日韓基本条約で関係を正常化し、経済支援を受けて高度経済成長を果たした。北朝鮮は日本と国交正常化できれば韓国と同じように夢を描くことができる。北朝鮮には国民のためにそういう判断をしてもらいたいです。

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