【主張】回顧2018 米中が対決局面に入った 国益の最大化をためらうな

 世界は米中の対決局面に入った。両国のパワーゲームの狭間(はざま)でわが国には今こそ、国家百年の計が求められている。そんな思いを抱かされる一年となった。

 世界は、良くも悪くもトランプ米大統領が主役だった。特に、中国と北朝鮮への対応は、わが国の安全保障に直結するだけに目が離せない展開が続いた。

 その米中両国だが、かつて蜜月ぶりの象徴としてG2と呼ばれた時代が遠い過去のごとく、「新冷戦」とか「第2次冷戦」とも評される深刻な事態を迎えた年として記憶されるだろう。

 ≪日米同盟の強化が基軸≫

 軍事、経済両面で台頭を続ける中国は、国際秩序に挑戦するゲームチェンジャーとしての立ち位置を強めている。南シナ海での傍若無人な振る舞いや、相手国を借金で縛る覇権主義との批判が絶えない「一帯一路」が典型だ。

 そんな中国相手の貿易戦争について、トランプ大統領が2期目を目指し、貿易赤字減らしを狙ってパフォーマンスを仕掛けているとだけ見るのは、間違いだ。

 対中強硬姿勢に転じた米国の動きは、決して大統領の個人的で浅慮な言動ではなく、国を挙げての強固な意思決定が背景にあるとみるのが正しかろう。

 新冷戦の本質は軍事、経済、科学のあらゆる分野で、米国こそが世界を支配するのだという覇権争いなのだ。オーストラリアやニュージーランド、英国、カナダも追随した。英語圏で構成する「ファイブアイズ」だ。

 米国の要請でカナダ当局が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者を逮捕したのが好例だ。スパイ行為やサイバー攻撃が疑われ、米国として安全保障面で譲れない一線を越えたことへの警鐘だろう。

 日本は事実上、華為技術などの中国製機器を政府調達から排除することにした。同盟国として足並みをそろえたのは当然だ。米中の対決は長期戦になる。

 わが国は日米同盟を基軸とし、時代の大きな変化に活路を見いだしていく努力が求められる。

 北朝鮮は、わが国にとって目の前の脅威として存在する。日本人拉致問題の解決も急務だ。

 今夏、トランプ氏と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が行われた。共同声明で金委員長は「朝鮮半島の完全な非核化」を表明し、トランプ氏はこれが成果だと胸を張った。だが、残念ながら何も決まらず、何も変わっていない。

 金委員長に約束させるべきは北朝鮮の核や大量破壊兵器、弾道ミサイルを「完全かつ検証可能で不可逆的に廃棄」させることだったのに、できていない。

 ≪地殻変動を乗り越えよ≫

 トランプ氏が北朝鮮の体制保証を約束し、会見で国交正常化への意欲を示したのは、いかにも前のめりだった。在韓米軍の撤退を要求し、自国の非核化を遅らせる口実すら与えた感がある。

 北朝鮮が偽りの政治ショーにたけた国であることを忘れてはならない。同盟国としっかりと足並みをそろえ、制裁の厳格な履行など強い姿勢で臨み続けるべきだ。

 ひるがえってわが国は、安倍晋三首相が自民党総裁選で3選を果たし、戦後外交の総決算に向け正念場を迎えている。この一年、米中露という大国相手に、長期政権と国民世論の支持を背景に大いに存在感を発揮したといえよう。

 ただ、首相の訪中はいただけない。国際社会が「一帯一路」から距離を置き始める中、それに手を貸すかのような経済協力は世界の潮流に逆行してはいまいか。ペンス米副大統領の中国に関する演説は、対中融和に傾く日本の外交姿勢に鋭く突き刺さった。

 プーチン露大統領とは1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約締結の交渉を加速させることで合意したが、これも危うい。宣言は色丹島と歯舞群島を引き渡すと記されているだけだからだ。

 来春、天皇陛下が譲位され、御代が替わる。

 世界は大きな地殻変動が起きている。そのスピードはとてつもなく速い。まるで、自分で自分の国を守るための憲法改正すら議論できない、わが国の未熟な国内情勢をあざ笑うかのようでもある。

 国際社会は日本の事情を斟酌(しんしゃく)しない。国益の最大化をためらう理由もない。来年は日本がより一層飛躍する一年としよう。

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