【主張】パワハラ防止 職場の意識変える一歩に

 職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)をめぐり、厚生労働省が企業に防止措置を法律で義務化する。増加する職場のパワハラ被害を食い止めるには、一定の法制化が必要と判断した。

 すでにセクハラや妊娠・出産をめぐる嫌がらせなどのマタニティーハラスメント(マタハラ)については、法律で企業に防止措置を講じることが義務付けられている。しかし、パワハラはその定義が曖昧なため、いまだ法律による明確な規制がない。

 産業界には「業務上必要な指導との線引きが難しい」などと慎重論がなお根強い。このため、厚労省ではパワハラの定義や防止対策などに関する具体例を新たに指針で示す方針だ。

 これを契機にしてパワハラ防止の必要性を広く周知し、職場環境の実効的な改善につなげなければならない。

 パワハラ防止は、労使が参加する厚労省の審議会で検討を進めている。労働組合側がパワハラの行為自体を法律で禁止するように主張したのに対し、経営者側は法的な根拠がないガイドラインなどで防止を促すように求めた。これらの意見を踏まえて同省は、まずは企業にパワハラ防止を法律で義務化することを決めた。

 来年の通常国会に労働安全衛生法などの改正案を提出する。企業に求める具体的な防止措置は指針で定める。就業規則でパワハラ防止を明記し、違反した場合の処分規定や相談窓口の設置などを求める見通しだ。どのような行為がパワハラに該当するかの具体例も併せて示す。

 パワハラをめぐる定義は、同省の検討会がまとめた報告書を踏まえた内容とする。そこでは(1)優越的な関係に基づく行為(2)業務上必要な範囲を超えた言動(3)身体・精神的な苦痛を与える-の3要素を満たす行為がパワハラに該当すると認定している。

 全国の労働局に昨年度寄せられた労働紛争相談のうち、パワハラを含む「いじめ・嫌がらせ」は7万2千件を超えており、社会問題化している。働く人の尊厳を傷つけるパワハラ行為は、従業員の休職や退職につながり、企業の生産性低下も招きかねない。

 とくに中小企業では、パワハラ防止の対策策定が大きな課題とされている。政府による支援策も欠かせない。

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