【主張】土曜配達休止 郵便離れに拍車かけぬか

 日本郵便が普通郵便の土曜配達をやめて平日だけとする制度改正を総務省に求めた。併せて、速達以外の郵便物を翌日に配達する業務も基本的になくしたいという。

 人手不足が深刻化する中で全国一律サービスを続けるには、週末や深夜・未明に及ぶ労働環境を改善する必要がある。そのための負担軽減策である。

 経営実態に応じて適正にサービスを見直すのはやむを得ない。働き方改革の一環でもあろう。だが業務負担を減らせる分、郵便の利便性は低下する。そのバランスに十分な目配りが必要である。

 総務省は要望を受けて、配達頻度などを定めた郵便法改正の検討に入った。利用者への影響や、これをやわらげる対応策を見極めて慎重に検討してもらいたい。

 同社を傘下に持つ日本郵政の長門正貢社長は、法改正が順調に進めば2020年度の早い段階に実施できるとの見方を示した。

 手紙やはがきのほか、第三種郵便物として低料金で扱われる定期刊行物なども対象だ。ただし、速達の扱いは変えない。ゆうパックなどの荷物も対象外である。

 土曜配達の休止は、郵便需要の落ち込みや週休2日制の定着などに対応した措置だ。土曜担当を平日勤務に回したり、需要が拡大する荷物担当に配置したりする。

 また、翌日配達に必要な深夜帯の区分け作業をなくし、勤務にゆとりをもたせるため、3日以内に届けることを原則とする郵便法の規定を「4日以内」へと1日繰り下げる制度変更も求めた。

 一連の見直しで配達頻度や速度が減じれば、速達の需要が高まる可能性もある。料金を含む速達のあり方も同時に検討すべきだ。

 見直しを急ぐのは、要員確保が難しく、超過勤務や休日出勤への依存が強いからだ。賃金増も相まって郵便事業のコストは高い。制度を維持すれば、年200億円の赤字になるとの試算も出した。

 だが、改正で高コスト構造は本当に改まるのか。機械化で効率性を高める余地はないのか。これらを明確にして周知を図らなければ利用者の理解は得られまい。

 昨年は、はがきを値上げした。さらに今回の見直しで利便性が低下し、郵便離れに拍車がかかるようでは元も子もない。政府出資の日本郵政が全株式を保有するのが日本郵便である。公益性の高さを踏まえた改革に徹してほしい。

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