【主張】安倍首相の訪米 トランプ氏と真剣勝負を

 安倍晋三首相が27日までの日程で訪米し、国連総会で演説するほか、トランプ米大統領ら各国首脳と会談する。

 自民党総裁選で3選を決めた直後の外遊だが決して気楽な旅ではない。極めて重要な課題を幾つも抱えた中での真剣勝負の大舞台である。

 トランプ氏とは、23日(米時間)に夕食を共にし、26日に会談する。前回ひざを交えて話し合ったのは6月7日だが、それ以来、北朝鮮、中国、日米通商関係の3つの分野で情勢は大きく変わっている。

 首相には、これまで以上に日本の国益や安全保障を追求してもらいたい。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、6月の米朝首脳会談で「完全な非核化」を約束したが、実のある行動を何らとっていない。

 平壌での南北首脳会談で、金氏は「米側の相応の措置」を条件に寧辺の核施設を廃棄する方針を表明し、トランプ氏との再度の会談に意欲を示した。

 だが、北朝鮮は他にも核施設を隠している。重要性の低い一部施設の廃棄を小出しにしても非核化にはつながらない。核・ミサイル戦力と量産体制を温存する隠れみのにするつもりであろう。

 安倍首相はトランプ氏に、北朝鮮にだまされないよう説くべきだ。核・ミサイル戦力と製造施設すべての申告と全面的な査察が実現しなければ非核化に至らない。北朝鮮がこれを受け入れるまで、経済的、軍事的圧力を効果的にかけるよう話し合ってほしい。拉致問題では、トランプ氏に改めて側面支援を求めることも必要だ。

 米中間の「貿易戦争」は激しさを増す一方だ。知的財産権や南シナ海の問題を含め、「新冷戦」の様相を呈しつつある。

 首相は対中関係の改善を目指しているが、日米で足並みが乱れては元も子もない。日本にとっても中国の覇権主義を封じ込めることは国益にかなう。トランプ氏と対中戦略をすり合わせることが急務である。

 さらに、日米間の通商問題も極めて重要な局面にある。トランプ氏は米国に有利な合意がなければ「日本は大変な問題になる」と語っている。安倍首相はトランプ氏に、同盟国を脅す手法は、米国と世界の利益を損なうことを納得させなければならない。個人的信頼関係の真価が問われている。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ