インドの幽霊 所変わればイメージもそれぞれ

 「実家のそばに幽霊が出るんだ」。知り合いになったインド南部出身の男性経営者が真顔でこう話し掛けてきた。近所で何人か木陰での目撃談があるのだという。50歳を過ぎた、ひげ面の男が「どうすれば幽霊がいなくなるか」と真剣に語っていた。

 車を運転しても譲り合いなどなく、遅刻しても動じないたくましいインド人だが、一方で迷信深い面がある。熱心に寺院に通う様子を見ても、「人知を超えた何か」を強く信じているといえるのかもしれない。

 インド東部・西ベンガル州では、幽霊が出るとの話で集落全体から住民がいなくなり、文字通りの「ゴーストタウン(幽霊の街)」と廃虚化した例がニュースとなった。北部ウッタルプラデシュ州では、女性の髪を切る幽霊が出るとの噂が広がり、親が子供を外に出さないようにしたという例も報告されている。経済発展著しいインドだが、迷信に振り回される国でもある。

 ふと、疑問に思って男性経営者に、イメージする幽霊とはどんなものか聞いてみた。いろいろと説明したが、要約すると「白い歯を見せる豊満な美女」なのだという。足が消えて、はかなげなイメージではない。もちろんインド全体ではなく、彼の地元での幽霊像なのだろうが、「所変われば幽霊も変わる」と痛感した。(森浩「ガンジスのほとりで」)

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