「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記

今太閤・岡田監督ならできるCS改革、独走Vなのにアドバンテージが少なすぎる!

圧倒的な強さで優勝した阪神の岡田彰布監督=甲子園球場(安部光翁撮影)
圧倒的な強さで優勝した阪神の岡田彰布監督=甲子園球場(安部光翁撮影)

優勝チームと10ゲーム差以上も離されたチーム同士の日本シリーズなんて、誰が見たいと思うんよ、お~ん、ハッキリ言うて-。コレ架空のコメントですが、岡田彰布監督(65)にはぜひCS改革について声を挙げてほしいですね。阪神は14日の巨人戦(甲子園球場)に4対3で勝ち、18年ぶりのリーグ優勝を飾りました。本拠地の夜空に舞った指揮官らV戦士は日本シリーズ出場(10月28日に開始)を争う10月18日開始のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ(6試合制)に臨みます。いつもは2位や3位で「下克上」を目指しているのに、立場が変わったら言うことが…と批判を受けるのは承知の上で指摘します。独走Vのチームが日本シリーズに出られないかもしれないシステムはそろそろ見直した方がいいのでは…。虎の将はCS改革の必要性を説いてくれませんかね。

広島に13ゲーム差でV

最高潮に達したムードの中で夜空に舞った岡田監督の笑顔。若い頃から喜怒哀楽、色々な表情を見てきましたが、最高に輝いていた瞬間でした。「甲子園球場でね、たくさんのファンの前で絶対決めようと。みんながそういう気持ちでいったので、ほんとに嬉しく思います」。今季最多4万2648人を飲み込んだ本拠地の大観衆の「オッカダ! オッカダ!」の大合唱を背中に受けながら、優勝監督インタビューを受ける指揮官は「普通にやれば勝てるんよ」を実践しきった結末を泰然自若に受け止めているかのようでした。

それにしても強かった。優勝を決めた128試合目の時点で80勝44敗4分けの貯金36。2位の広島には13ゲーム差をつけました。特に7月のオールスター戦後の後半戦は「このチームは最後の方は強くなる」と岡田監督が予言した通りに勝ちまくり。優勝を決めた9月14日までの44試合を34勝9敗1分け。驚異的な勝率で18年ぶりのリーグ優勝に駆け上りました。2005年のリーグ優勝以来、V争いをしていても、いつも終盤で失速し、苦い思いを繰り返してきたチームとは思えない盤石の強さです。

次はもう一つの「アレ」

さあ、岡田阪神が見据えるのは1985年(昭和60年)以来、38年ぶりとなる2度目の日本一です。吉田義男監督の率いる阪神が西武を4勝2敗で破り、球団創設初の日本一に輝いたのは11月2日の西武球場(現ベルーナドーム)。第6戦の一回表、右翼席に飛び込んだ長崎の満塁本塁打は今でも目に浮かびますね。あの歓喜をもう一度…そんな期待感が膨れ上がります。

ただし、阪神は無条件に10月28日から始まる日本シリーズに進出するわけではありません。10月18日から始まるクライマックス・シリーズ(CS)のファイナル・ステージ(6試合制)で、10月14日から行われる2位と3位によるファースト・ステージを勝ち上がったチームと対戦し、先に4勝(優勝チームには1勝のアドバンテージがある)しなければならないのです。パ・リーグが2004年から3シーズン、プレーオフ制度を実施し、セ・リーグも2007年から導入してセ・パ同時に現在のシステムになったわけですね。

なので、阪神が前回優勝した2005年は、セ・リーグはCS制度はなく、リーグ優勝決定で即、日本シリーズへの進出が決まっています。過去に何度も2位か3位でCSに進出。2014年には2位でファースト、ファイナルを勝ち抜いて日本シリーズに出場したこともありますが、優勝チームとしてファースト・ステージの勝者を待ち受けるのは球団として初めての経験ですね。

岡田監督は優勝後のインタビューで「当然ね、みんなわかってると思うんですけど、1位で通過したというのは(CSでは)負けられない。日本で一番最後まで試合できるように…」と話しましたが、まさに勝って兜(かぶと)の緒を締めよ-でしょう。現在の日程を見ると、阪神の今季最終戦は10月1日の広島戦(マツダ)。そこから16日間、試合が空いてしまいます。主力選手たちの試合感覚が心配になりますね。首脳陣は10月9日から始まる宮崎フェニックス・リーグ(若手選手の教育リーグ的な位置付け)に主力級をごっそり派遣して、実戦感覚を鈍らせないようにしたい考えですね。

CSルールに違和感

それはそれで、当然の策なのですが、ちょっと間尺に合わない感覚が頭の中に渦巻く人も少なくないのではないでしょうか。もう一度書きますが、阪神が優勝を決めた9月14日の成績は80勝44敗4分けの貯金36です。その時、2位の広島は69勝59敗4分けの貯金10、3位のDeNAは65勝61敗3分けの貯金4です。阪神とのゲーム差は広島が13ゲーム、DeNAは16ゲームでした。もしも「下克上」でDeNAが勝ち抜いて日本シリーズに出れば、ペナントレースで貯金36のチームが出場できず、貯金4のチームが出る?わけです。

頭の中では「決められたルールだから仕方ない、それがCSなんだから文句言うな、阪神だって2014年に逆転で日本シリーズに出たやんか」…と〝別の自分〟が言ってくるのですが、ちょっと受け容れられないほどの違和感が残りませんか。立場が変わったら急に主張を変えるのか…とも言われそうですが…。

実際に昨年、68勝71敗4分けの借金3で3位に入り、ファースト・ステージに進出。逆転での日本シリーズを目指す…と意気込んでいた矢野阪神をどこか冷めた目で見ていた記憶があります。ファーストではDeNAを2勝1敗で下し、ファイナルでは優勝したヤクルトに3連敗でした。もし、ヤクルトにも勝っていたら、シーズンでは借金3のチームが日本シリーズに出ていたわけで、それはどうなの?…と阪神ファンでも首をひねる事態だったでしょう。

ペナントレースの〝重み〟をさらに考慮を

CSが導入されて今季で17シーズン目です。過去にはロッテが3位から「下克上」(2010年)を達成したこともあります。優勝が決まっても、2位や3位争いがシーズンの最終盤まで白熱して消化試合がなくなった-という声もあります。今さら、CSをなくすことには異論の声も多く出る可能性があるでしょう。

しかし、一方で143試合を戦ったペナントレースの結果をもう少し、重く考えるべきではないでしょうか。特に今季のように阪神が2位に10ゲーム差以上、パ・リーグでもオリックスが2位のロッテに12・5ゲーム差(9月17日現在)をつけて優勝マジックが5になっている状況を見た時にそんな思いを痛切に感じます。例えば、優勝チームが2位に10ゲーム差以上離して優勝を決めた場合、ファイナル・ステージのアドバンテージを1勝から2勝に増やすなどのルール改革が求められるのでは? シーズンで勝率5割を切ったチームはたとえ3位でも、CSの出場権を失うとか…もアリなのではないでしょうか。

こうしたCSのあり方やルール改革については、ぜひとも岡田監督に物申してほしいですね。「ハッキリ言うて」欲しいのです。今季はDeNA戦(横浜=8月18日)で九回一死から代走・熊谷が二盗を試みるもベースカバーに入った京田の左足が二塁ベースを完全にふさぎ、判定はDeNA側のリクエストでセーフからアウトに…。岡田監督は退場寸前の猛抗議を行いました。判定こそ覆りませんでしたが、後日にルールの解釈が変更されたケースがありました。球界の「今太閤」岡田監督から言葉が発せられたならば、CSのあり方やルールについて見直しが進む契機になると思うのですが…。皆さん、どう思いますかね。これを阪神ファンの戯言…と罵られるのでしょうか。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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