交流サイト(SNS)上で特殊詐欺や強盗グループの実行役を募る「闇バイト」の危険性を伝えようと、兵庫県内の大学生らが実際の犯罪手口を再現した動画を制作している。今月10日には、学生自ら犯罪に巻き込まれる実行役などを演じて撮影。県警の担当者が協力し、よりリアルなセリフになるよう助言した。現在制作中で、今後、小中高生向けの出張授業に活用する予定といい、高額報酬に誘惑され、軽い気持ちで犯罪に加担しないよう呼び掛ける。
動画を制作しているのは、同県立大や甲南女子大、関西福祉大の大学生ら約80人が所属する一般社団法人「ソーシャルメディア研究会」(姫路市)。これまで児童・生徒間のいじめといった子供が巻き込まれやすいトラブルを題材にさまざまな動画を制[作し、小中高生向けに啓発活動を展開している。
再現動画は、SNSで高収入のアルバイトを見つけ、軽い気持ちで履歴書を送った大学生が、被害金の運び屋をさせられ、辞めようとしても犯罪グループの1人から「家で暴れてもいいんだぞ」などと脅され、ずるずると特殊詐欺に加担してしまうというストーリー。研究会の学生らが台本を考え、県警の生活安全企画課員らとともにセリフなどを仕上げたという。
今月10日、同県明石市内で動画撮影が行われ、同研究会の学生が同課員から「犯罪の可能性のあるものというセリフの表現は、詐欺の被害金に変えたほうがいい」などとアドバイスを受けながら、闇バイトに応募した大学生役や犯罪グループ役などを演じた。
動画は10月27日に姫路東高で行う同研究会の実験授業で使われるほか、県警でも防犯講話などでの活用を検討しているという。
同研究会副代表で、県立大3年の仲田七海さん(22)は「リアルに再現した動画を見て、闇バイトの怖さを知ってほしい」と話していた。