ならまち糞虫館(奈良市)の中村圭一館長が、奈良学園小学校(同)で奈良公園のコガネムシ(糞虫(ふんちゅう))について学ぶ出前教室を開いた。
公園の掃除を担当する虫に興味を持つことで、子供たちに環境に目を向けてもらうことが目的で、3年生44人が参加した。
中村さんは、奈良公園の糞虫がシカの糞を食べて、体内で分解し、土に還していることを説明。「公園がシカの糞まみれにならないのは、糞虫のおかげだ」と話した。
さらに、エジプトで神の化身とされ、ミイラの副葬品にもなっていたという「スカラベ」など、国内外のさまざまな糞虫について紹介。子供たちは豆粒ほどの小さな糞虫の標本を顕微鏡で観察した。
岡田勝瑛さん(9)は「シカの糞を食べる虫がいることが興味深かった」と話し、上田麻衣さん(8)も「コガネムシの種類は多く、身体に比べて頭が小さい。きれいな色のものがいるのも面白かった」と笑顔を見せた。
中村さんは「ある動物が絶滅すれば、その糞を食べる糞虫も絶滅してしまう。子供たちに糞虫を通して食物連鎖のサイクルに興味を持ってもらいたい」と話している。