共産党福岡県委員会が「ご飯論法」の発案者の1人で、ブロガー、漫画評論家の神谷貴行氏を党規約違反で処分する方針を固めたことが19日、分かった。党県委員である神谷氏が今年2月の党会合で、党首公選制導入などを訴えて除名されたジャーナリストの松竹伸幸氏の処分見直しを主張し、その議事内容を外部に公表したため。党内外に支持者が多い神谷氏への処分は、異論を許さないという共産党の印象をさらに強めかねない。
党側は今月9日の県委員会総会で決定する予定だったが、さらに慎重な調査が必要だとして延期、近く神谷氏から改めて事情を聴取し、党規約に照らして処分する見通しだ。神谷氏は県委員に加え、県常任委員を務めているが、党県委員会幹部によると、現在は党会合への出席が認められないなど「権利制限」を受けているという。
党側が問題視しているのは、2月に開かれた党福岡県委員会総会での議事内容を神谷氏が運営するブログで公表した点。
神谷氏は総会で、党側が松竹氏に示した除名処分の根拠は成り立たないなどと主張し、関連する報告部分の削除や、処分見直しを県委員会から中央委員会に求めてほしいなどと発言した。神谷氏の要請は多数決で否決されたが、その後、議事内容を自身のブログに詳細に書きつづった。
県委員会幹部は「『松竹氏の処分は間違いだ』と党内で議論するのは自由だが、それを党外に出したら明確な党規約違反となる」と語り、「重い処分」になる可能性を示唆した。党側は、除名された松竹氏との接点の有無も調べているとみられる。
神谷氏は平成30年の福岡市長選には共産党推薦の無所属候補として出馬した。「紙屋高雪」のペンネームでも活動しており、国会審議で質問に正面から答えず、論点をすり替える態度を「ご飯論法」と名付け、「2018ユーキャン新語・流行語大賞」トップ10に選出された。
神谷氏はペンネームで運営するSNSで、党側の対応を「私への忌まわしい抑圧行為」と批判している。