茨城県は19日、令和5年の県内地価調査結果(7月1日時点)を発表した。住宅地の平均変動率は0・3%で32年ぶりに上昇に転じたほか、商業地は0・6%で2年連続、工業地は1・2%で8年連続で上昇し、上昇率は、いずれも昨年より拡大した。全用途の平均変動率も0・4%と2年連続で上昇し、上昇率も昨年より拡大した。
調査は、住宅地▽宅地見込み地▽商業地▽工業地▽林地―の用途別に、昨年よりも7地点多い県内547地点(昨年からの継続は531地点)で実施。用途別の上昇地点は、住宅地で91地点、商業地24地点、工業地21地点の計136地点(昨年比37地点増)だった。
用途別の上昇地点を市町村別にみると、住宅地では、つくば市15地点、土浦市と神栖市10地点、牛久市8地点、ひたちなか市と鹿嶋市の7地点などが続いた。商業地は、つくば市6地点、古河、つくばみらい、水戸の各市3地点、守谷市2地点などが続いた。
地価の最高地点は、住宅地が9年連続で「つくば市吾妻1丁目16番24」。つくばエクスプレス(TX)のつくば駅から徒歩圏内の研究学園都市中心部に位置し、都心方面への通勤利便性に加え、近くに大規模商業施設や小学校があるなど住環境に優れており、県内外からの土地需要の高まりに対して供給が少なく、地価上位を維持しているとみられる。
商業地の最高地点は「つくば市研究学園5-12-4」が2年連続、単独では初めて最高となったほか、昨年まで最高だった「つくば市吾妻1丁目14番2」、守谷市、県都・水戸市が続いた。
つくば市の地点は、TXの駅から徒歩圏内に位置し、宅地分譲の進展や人口増に加え、新規店舗の立地などで繁華性や集客力が向上していることから、土地需要が高まっているとみられる。
不動産鑑定士の羽場睦夫氏は今回の地価動向の特徴について、「水戸市の住宅地で31年ぶりに上昇地点(常磐町、千波町、笠原町の3地点)が出てきたことは特筆すべき。県庁所在地に回復傾向が出てきたことや、県内の工業地で31年ぶりに下落地点がなかったことなど明るい兆しが見えてきた」と指摘した。