奈良県は19日、今年の県内基準地価(7月1日時点)を公表した。住宅地や商業地を含めた全用途の平均変動率はマイナス0・4%で、16年連続の下落となったが、新型コロナウイルス禍からの経済活動の回復により、下落率はやや縮小した。
商業地の平均変動率は0・9%で前年の横ばいから上昇に転じた。工業地はプラス2・8%で10年連続の上昇。一方、住宅地はマイナス0・8%で15年連続の下落となった。
商業地は奈良市を中心に需要が回復傾向にあり、昨年から継続調査している46地点のうち、20地点で上昇、15地点で横ばい、11地点で下落した。新型コロナの行動制限が緩和され、外国人観光客が増加していることが影響した。最高価格は近鉄奈良駅前の「奈良市東向中町4」(東向商店街入り口付近)で1平方メートルあたり92万円。一方で県中南部は少子高齢化や人口減少による影響で需要は減っており、下落傾向の地点が多くみられた。
工業地は継続調査した4地点全てが上昇。高速道路などのインフラが充実している大和郡山市や、大阪方面へのアクセスが良好な生駒市の工業団地で上昇傾向が継続している。
住宅地は継続調査の211地点のうち46地点で上昇、31地点で横ばい、134地点で下落した。駅から徒歩圏内の住宅地で需要が堅調だが、中南部の過疎化地域では下落傾向が続いている。
調査結果をまとめた不動産鑑定士の三和浩氏は今後の見通しについて、「人流が顕著に回復しており、奈良市の商業地を中心に、しばらくは堅調に推移すると思われる」としている。