カナダ政府、インド情報当局高官を国外追放 シーク教徒殺害に関与か

カナダ議会で発言するトルドー首相=18日、カナダ・オタワ(Sean Kilpatrick/The Canadian Press提供、AP=共同)
カナダ議会で発言するトルドー首相=18日、カナダ・オタワ(Sean Kilpatrick/The Canadian Press提供、AP=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】カナダ政府は18日、西部ブリティッシュコロンビア州で6月にインド系カナダ人が殺された事件にインド政府工作員が関与したとし、在カナダのインド情報当局高官を国外へ追放したと発表した。殺されたのはインドからの分離独立を唱えるシーク教徒の指導者。ロイター通信が伝えた。

ただ、英BBC放送によると、インド政府は殺害への関与を否定。印加関係の悪化が懸念される。カナダのトルドー首相は米英仏など同盟国に事件について説明したという。

ロイターによると、インド政府は1990年代に分離独立を唱える国内のシーク教徒の反乱を鎮圧。近年は移民大国カナダでのシーク教徒の活動を注視してきたという。

指導者はハーディープ・シン・ニジャール氏。今年6月18日、ブリティッシュコロンビア州サリーのシーク教寺院の近くで射殺された。ニジャール氏はインド政府から「テロリスト」に指定されていたという。

トルドー氏は18日、下院で、カナダ情報当局が「信頼できる」情報に基づきインド工作員の関与を調べていると説明、外国政府がカナダ国内でカナダ市民の殺害に関与することは「カナダの主権に対する侵害で容認できない」と述べた。

トルドー氏は10日に閉幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、インドのモディ首相に「深い懸念」を伝えたという。

G20サミットでは、モディ氏もシーク教徒のカナダでのデモ活動に対する「強い懸念」をトルドー氏に伝えたと報じられている。カナダ最大都市トロントの印領事館前で7月、ニジャール氏の支持者は大規模な抗議デモを展開していた。

ニジャール氏殺害事件を受けてカナダは今月初め、年内の基本合意を目指していたインドとの包括的な経済連携協定などの締結に向けた協議を中断した。与党・自由党は、シーク教徒のジャグミート・シン氏が率いる野党・新民主党(NDP)と政権協力を結んでいる。トルドー氏の対印強硬姿勢の背景にNDPへの配慮があるとの指摘もある。

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