経団連の十倉雅和会長は19日の記者会見で、故ジャニー喜多川元社長による性加害を認めたジャニーズ事務所との契約を見直す企業の動きについて「人権侵害や児童虐待、犯罪は断じて許さないという企業の基本姿勢を内外に示すことは大変重要だ」と理解を示す一方、「日々研鑽(けんさん)を積んできたタレントの活躍の機会を長きにわたって奪わないやり方があるのではないか」とも述べ、所属タレントの活動を妨げずに問題の解決を図る必要があるとの認識を強調した。
十倉氏は、同事務所の所属タレントは「加害者ではなく、ある意味で被害者だ」とした上で、コンプライアンス(法令順守)に違反した企業の製品に対する不買運動とは「少し違う」と指摘し、相次ぐ企業の起用見送りに違和感をにじませた。
また、喜多川元社長による性加害の真実性を認めた東京高裁の判決が平成16年に確定していたことに触れ、「今回の問題を日本社会全体で何となくやり過ごしてきた面があり、もう少し深く考えるべきではないか」と指摘した。
一方、中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題を巡る損害保険ジャパンの親会社、SOMPOホールディングスの企業統治(ガバナンス)に関する責任については、同社からの調査結果の報告を待って経団連としての考えを明らかにする意向を示した。